2023/10/31
【共働き夫婦必見】多忙な毎日に「時間」を生み出す方法
Yohana | NewsPicks Brand Design
働きながら子育てをしている人にとって、仕事や育児、家事の膨大なタスクに追われるなか、家族と向き合う時間や自分の時間をつくることは難しい。
特に現在は「家族の形」についての価値観も多様化し、共働き夫婦も増加傾向だ。そうした背景もあり「仕事と家庭をどう両立させるのか」は、世の中の共働き夫婦の中で共通の課題となっている。
そんなロールモデルなき時代、キャリアを諦めることなく、家族との関わりを大切にするためにはどうしたらいいのか。
今、こうした家族の課題をテクノロジーによって解決していく「ファミリーテック」が注目を集めている。
スケジュール共有アプリを利用している世帯も増えてきたが、さらに最新のソリューションとして注目されているのが、次世代ファミリーコンシェルジュサービス「Yohana」だ。
CEOの松岡陽子氏自身が、育児とキャリアの両立で悩んだ体験から米国で生まれた同サービス。2023年9月に日本上陸1年を迎えたのを機にサービスエリアを拡大。
さらに、より使いやすいサービスを目指し大幅な価格改定を発表。提供価格が1万8000円から1万円にリニューアルされた。
Yohanaに込めた想いや今後の展望について、松岡陽子氏に伺った。
家事と育児、100%自分でやるのは“無理”
──松岡さんは今回の取材を受けるにあたり、子育て世代の親にどうしても伝えたいことがあるそうですね。
松岡 頑張っているみなさんに改めてお伝えしたいのは、 現代社会において仕事と家事、育児を100%自分たちでやり切るのは、正直言って「不可能に近い」ということです。
私も現在、4人の子どもを育てている最中ですが、最初の子どもが生まれる前は「育児は全部自分でやる」と意気込んでいたのです。でも、実際に育児が始まると、そんな理想は吹き飛びました……。
夫も家事育児に積極的な人ですが、二人体制でも回らない。夫と私で大泣きする赤ちゃんを抱えて、「こんな状態ではやっていけないね」「無理無理」と二人で呆然としたことを今も覚えています。
──そうした状況を乗り切り、松岡さんはキャリアと子育てを両立されています。多忙な毎日だと思いますが、どのように「時間」を作り出していますか?
最初は「家のことを誰かに頼るなんて母親らしくない」と迷いもありましたが、現状を乗り越えるために、家事をアウトソーシングすることにしたのです。
でも、最初の頃は他人に散らかった家を見られるのが恥ずかしくて、掃除の方が来る前に自分で片付けをしていたことも。
誰かにトイレ掃除をしてもらったり、洗濯物を畳んでもらったりするのも、当初は「あり得ない」と思っていました。
アウトソーシングするのに慣れたのは、3年くらい経ってから。何を人に頼んで、何を自分でやるかを考えて取捨選択していく過程で「できないことは誰かに頼ってもいいんだ」と思えるようになりました。
タスクの量に対して費やせる時間に限りがあるなかで、家族の課題を解決するためには、最先端のテクノロジーをうまく活用していくことも必要だと思います。
しかし、テクノロジーによって急成長している分野がある一方で、家族や毎日の暮らしの分野は市場ができておらず、新たに参入するプレイヤーが少ないのが現状です。
また、この分野は「自分たちで解決するもの」「親自身がやるべきこと」という固定観念も強く、そもそもテクノロジーを使って物事を解決するような考え方が浸透していません。
そうした背景もあり、実際に子どもを持つ親がサービスをつくる側に入っていないのです。
だからこそ、家族がもっと大切なことに向き合う時間を取り戻し、理想の暮らしを実現できるようにサポートしたい。そう考えて開発したのがYohanaです。
日々のTo-doを解消し、週に8〜10時間を捻出
──Yohanaはどういったサービスですか?
松岡 Yohanaは家族の暮らしをワンストップでサポートするサブスクリプション型のファミリーコンシェルジュサービスです。
2021年にシアトルで誕生し、2022年9月から日本でもサービスを開始しました。
アプリを通してTo-doを依頼すると、Yohanaのコンシェルジュが解決に向けてサポートします。
たとえば、献立の提案、買い物リストの作成、レストランの予約、旅行のプランニングや予約、習い事やおすすめ絵本のリサーチなど、タスクは自由に設定でき、幅広い暮らしのタスクのサポートを行います。
このほか、タスク管理だけでなく、実際の作業を依頼したい場合は、独自のトレーニングを受けたスタッフが料理代行や掃除代行などを行う「Yohanaプライムプロサービス」も人気です。
──ユーザーからはどんな反応がありましたか?
利用しているユーザーは子育て世帯が多いのですが、高齢者や単身者の利用も増えています。
ユーザーからは、次のような声が寄せられています。
- 「Yohanaにプレゼントや旅行に関する事前リサーチを依頼したことで、その分の時間が省け手早くタスクに取り組めるようになった」
- 「自分でやると5分かからないタスクでも、それぞれが積み重なると30分、1時間と可処分時間を圧迫するので、それを細かく整理することで時間が確保できた」
- 「自分が知らなかったことや、思いつかなかった選択肢を教えてもらえる」
なかには、YohanaにTo-doを頼みタスクを整理したことで、週に8〜10時間ほどの時間を捻出できた方もいました。
──子育て世代だけでなく、Yohanaが幅広いユーザーから支持されているのはなぜでしょうか?
解決する課題が普遍的なものだからでしょう。
私はアメリカで子育てをしていますが、極端な例を除けば、日本もアメリカも共働き夫婦は同じような悩みを抱えています。
また、所得が多くても「子育ては自分たちでやりたい」と考えるご家庭は多いですし、家事をアウトソーシングできても、子どもの教育や親の介護は調べる手間がかかります。
「子どもの適性にあった塾を探す」「自宅で親の介護をする場合、その分野でリフォームが得意な業者を探す」といったタスクは、資料も複数取り寄せて比較検討したいですよね。
この下調べの部分を誰かにアウトソースできれば、「決める」タスクだけに集中できます。
だからこそYohanaのように、ユーザーのTo-doを整理して「自分たちが本当にやりたいこと」に集中するための時間を作り出すサービスに、強いニーズがあるのだと思います。
あえて窓口に“人”を配置する理由
──世界的に生成系AIが話題になるなか、対話AIなどの導入も進んでいます。このタイミングであえて“人”を介したコミュニケーションを行う理由はなんですか?
松岡 これまでテクノロジストとして自動運転など最先端の技術の開発に参加するなかで、人を助けるためにテクノロジーで何ができるかを追求してきました。
でも、ユーザーの課題を知れば知るほど、テクノロジーだけでは、本当に人の助けになることはできないということに気がついたのです。
やっぱり、人は人と話したいのです。
我々が普段何気なく行う会話によるコミュニケーションには、会話の文脈や、声のトーン、話者の表情、など膨大な情報が含まれており、複雑な処理のもとに行われています。
現段階でAIは人と人が行うコミュニケーションを完全に模倣することはできませんし、真実と異なる情報をユーザーに提供するケースもあります。「大変だったね」と感情を理解して共感したり、同情したりすることもできません。
要は、人と人が行うコミュニケーションと比較してAIとの会話は「物足りない」のです。だからこそ、困りごとを相談する相手は現段階では「人」がベストだと考えています。
一方、AIは脅威的なスピードで進化しているので10年後はわかりませんが、少なくとも今は人の代替にはなり得ません。
技術先行ではなく、徹底的にユーザーのことを学び、ユーザーが何に困っているかを掘り下げていく。そして、機械だけで完結するのではなく、きちんと人が入ったサービスにしなければなりません。
その点で、Yohanaでは任されたTo-doを解決するだけでなく、相談相手としてユーザーに寄り添うようなコミュニケーションを大切にしています。
「今ちょっと大変で…」と話をするだけでもいい。そこから現状を良い方向に向かわせるきっかけがつかめるかもしれませんから。
一方でサービスの裏側では最新のテクノロジーを積極的に活用しています。
たとえば、季節に合わせて「衣替えとクリーニングの準備」「ふるさと納税の返礼品選び」「秋のお出かけ先」や「エアコンクリーニングの手配」など、ユーザーがまだリストアップしていない項目に早めに気がつけるように、先回りしてタスクの候補を表示する機能も設けています。
「譲れないもの」が決まれば「他人に任せられるもの」も決まる
──Yohanaは便利なサービスですが、以前の松岡さんのように、家のことを他人に任せることに抵抗を感じる人も少なくありません。
松岡 大事なのは、「自分の人生にとって何が大切かを考える」こと。家族や自分自身が幸せに過ごすために何をするのか。そして、何をしないか。優先順位をつけて、自分の頭を整理していくことです。
家の掃除、食事づくり、子どもに本を読む時間。本音をいえば全部自分でできるのが理想ですよね。
でも、何を優先させるかを考えたときに、他の人にお願いしたり、夕食に出前を取ったりする日があっても別にいいんです。誰かに頼れば、その分、貴重な「時間」を確保できるわけですから。
たとえば、子育て中の方に「もし1時間自由な時間ができたら、何をしますか?」と聞いたら、「子どもに本を読んであげたい」「運動したい」「一人でゆっくり寝たい」「キャリアアップのために勉強をしたい」など、多くのやりたいことが返ってくるのではないでしょうか。
──松岡さんの場合、「これだけは自分でやる」と決めていることはありますか?
松岡 子どもの送迎ですね。これは絶対に自分でやると決めています。
アメリカは車社会で、子どもの送り迎えが必要です。
うちの子はみんなスポーツをするので、学校からピックアップしてテニス教室に送って、というのを4人分しなければなりません。
毎日慌ただしくて大変です。でも、移動中の車の中って子どもとゆっくり話ができる貴重な時間なんですよね。
朝の様子を見て「今日はイライラしているのかな」「何かあったのかな」と、ちょっとした変化に気づけるのです。
子どもを送ったあとなら車内は一人ですし、仕事で会議などが必要なら車の中からでもオンラインで参加するなどして、効率よく過ごしています。
何をアウトソーシングするかの線引きは家庭の事情によってそれぞれですが、「これだけは譲れない」というものを決めれば、「他人に頼っていい」ものも自然に定まってくるはず。
仕事をしている分、子どもと過ごす時間は減ってしまうかもしれません。しかし、一緒にいる時間が長ければ長いほどいいわけではないはず。
たとえ短くても、より密度濃く、充実した時間を過ごせばいい。
自分のウェルビーイングを大切にしつつ、子どもとも上手に付き合っていく。そのために、誰かに任せてもいいTo-doは、ぜひYohanaに相談してください。
家族を支える第三のパートナーに
──Yohanaの今後の展望をお聞かせください。
松岡 日本に上陸した当初は神奈川県のみでサービスを展開していました。2023年9月からは東京、埼玉、千葉を含む一都三県に拡大。
より多くの方に使っていただけるように、料金も従来の月額1万8000円から1万円へと変更しました。今後も順次サービスを拡大していく予定です。
また、福利厚生のプランとして、法人での利用も始まっています。
──Yohanaを使うことで家族にどんな変化が生まれると思いますか?
夫婦間で「これ、どっちがやるの?」と議論になるシーンってありますよね。そこに、第三のパートナーとして入れてもらえたら。
どちらも対応できないときにYohanaに依頼する。あるいは、次の旅行のプランを決めるときに、「Yohanaにもオススメの場所を聞いてみよう」と相談してみる。そんな使い方をしてほしいです。
取材・執筆:村上佳代
撮影:小池彩子
デザイン:小鈴キリカ
編集:中道薫、中野佑也
撮影:小池彩子
デザイン:小鈴キリカ
編集:中道薫、中野佑也
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