2023/10/17

【逆転発想】電力会社が「家庭用バッテリー」に投資する理由

NewsPicksでは週7日毎日、世界のトレンドの背景を追うシリーズを開始しています。火曜日は「Behind the Scene(ニュースの裏側)」です。
INDEX
  • 「全家庭にバッテリーを」
  • 2030年には「停電ゼロ」に
  • 送電線拡充では不十分な理由
  • 高騰する電気代への「アンサー」

「全家庭にバッテリーを」

いま電力会社に求められるのは、再生可能エネルギーの使用と、荒天にも耐えられる送電網だ。
そのため、大半の会社は新たに大量の電線を敷設する対応に追われている。
しかし、グリーン・マウンテン・パワー(GMP)が提案する解決策は違う。
顧客を停電生活に陥らせずに済むよう、各家庭にバッテリーを設置しようというのだ。
10月9日、比較的小規模な電力会社(給電対象はバーモント州の27万戸)であるGMPは、バッテリーの購入、送電線の地下埋設、架線の強化を州の規制当局へ申請した。
同社によると、これは電線を増やしたり発電所を新設したりするよりも安価な方法だ。
この計画は、米国の一般的な電力会社の事業モデルとはかけ離れている。
GMPのマリ・マクルーアCEO(写真:Oliver Parini for The New York Times)
ほとんどの電力会社の利益源は、天然ガス・風力・太陽光などの発電所から家庭や企業へと給電する送電線の建設と管理だ。
GMPも送電線自体は使っているものの、テレビくらいの大きさのバッテリー(通常、住宅所有者が購入)に投資すれば、送電線への依存度が下がると見込む。
「当社のことは“非電力会社”と呼んでください」とGMPのマリ・マクルーアCEOは、申請前のインタビューで語った。
目指すのは従来の事業モデルからの完全な転換──事業モデルの分散です