ショルツ連立惨敗=極右政党躍進、最大野党に―独州議選
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ショルツ首相は、メルケル前首相の正統な後継者というイメージを前面に打ち出し、就任した経緯があります。その後、ドイツを取り巻く内外の環境が大きく変わりましたが、ショルツ首相は臨機応変に対応することができず、前政権からの公約(環境対策や移民対策)を粛々と進めている印象です。
もう一つ、緑の党との政策調整も、あまり巧く行っていない印象です。責任政党の立場からブレーキをかけるべき環境対策や外交戦略に関して、ショルツ首相はその責務を果たしているとは言えません。特に対中外交に関しては、緑の党の勝手にさせつつ、またSPDとして独自外交を展開しているような印象です。これではドイツという国に対する不信感を招く結果につながります。
このようなショルツ首相の「弱さ」が、有権者の失望につながっていると見ています。受け皿になっているAfDも現実主義的な性格を帯び始めており、ドイツ政治に対する影響力を着実に強めているといえそうです。ヨーロッパ政治についてはご専門の有識者のコメントを待ちたいです。ただ、マイナス成長見通しとなっているドイツ経済の不振が、ショルツ首相の支持率低迷の背景の1つにあるのでしょう。
メルケル時代のドイツは、フランス、イタリアなどとともに欧州連合の経済や政策をリードする立場にありました。この3か国のリーダー達の政権基盤が同時に弱体化していくことは、欧州連合のブラッセルへの中央集権化や経済統合をさらに促すのかもしれません。
また、欧州の政治情勢の変化が、ウクライナ問題や、ハマス・イスラエル戦争、インフレ、気候変動など国際社会が抱えるさまざまな難題への取り組みにいかなる影響を及ぼすのか、注目されます。