ハマス「奇襲攻撃」の狙い、イスラエルとサウジの正常化阻止か
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ハマースというのは、パレスティナ自治区の内、ガザ地区を統治している政治組織兼武装組織ですが、ガザ地区は経済的にも、資源、インフラ的にも単独で存続はできません。
基本的には、水も、電気もイスラエルから供給されていて、住民の多くも就労先はイスラエルです。
ハマースがガザ地区統治を維持しながら、イスラエルと散発的な戦闘を行うには、外部からの支援が必要です。
長年、主なスポンサーは、同じアラブ人のアラブ諸国でした。アラブ系イスラーム運動ということで、サウディアラビアなどのアラブ湾岸諸国がハマースに資金援助してきました。
2010年代に、サウディアラビアとUAEがイスラエルに接近し、ハマースへの支援を打ち切りました。イランへの対抗と、米国との関係改善のためです。
イスラエルとしても、サウディアラビアおよびUAEと組むことで、イランに対抗し、ハマースへの支援を断つことができました。
今では、アラブ湾岸諸国でハマースを支援しているのはカタールくらいです。
むしろ、トルコやイランといった非アラブ諸国からの支援が中心になりました。
トルコも脱落してイスラエルと関係改善し、今はハマースは、イランからの支援のみで存続しているようなものです。
ハマースがイスラエルを攻撃したところで、サウディアラビアがハマースへの支援を再開するということはありません。
ただ、これだけイスラエルを攻撃すれば、イスラエル軍の報復でガザ地区で数万人が死亡し、アラブ諸国から同情が集まれば、サウディアラビアとしても、イスラエルとの国交樹立までは当分できなくなります。
ガザ地区に対して、弔慰金や復興支援くらいは送るアラブ諸国も、カタール以外にも出てくるかもしれません。
その程度のことのために、数万人を犠牲にするのですが、ハマースとしては、財政的に存亡の瀬戸際なので、打って出るしかないという計算でしょう。
イスラエルもそれはわかっているので、ガザ地区そのものを消滅させて、ハマースのガザ地区統治を不可能にする、というのが論理的な解決策ということになります。今回のハマスによるイスラエル攻撃の国際的背景について分かりやすく解説した記事です。デニス・ロス氏が指摘している「米国とサウジ、イスラエルの間で画期的な合意が成立するのを阻止する狙いがあった」という意見に同意です。
サウジとイスラエルの国交正常化が大きな要因だったとは思うが、ハマスにとってはアラブ諸国からの支援が得られなくなることが大きな脅威だったのだと思われる。1973年以来、イスラエルとアラブ諸国は共存の道を進み、アブラハム合意で雪解けが進んだが、それはパレスチナ問題を置き去りにした結果ともみられていた。