2023/10/10

【JTC必見】エリート主義のNTTが、年功序列をぶっ壊す理由

NewsPicks編集部 ライター
昇格は年功序列で、入社後は定期的に部署異動があり、転勤に拒否権はない──。
日本の伝統的企業(JTC)の人事制度と言えば、多くの人がこう思い浮かべるだろうし、NTTもその「旧式」人事制度でやってきた会社の一つだ。
ところがこの数年、従来の制度を根本からひっくり返す人事・働き方改革を打ち出し始めた。
仕事はリモートワークを中心とすることで、転勤や単身赴任が原則として不要になった。
さらに社内外の驚きを呼んだのは、年功序列の人事制度を取っ払い、ジョブ型や実力主義の制度を管理職や一般社員に導入したことだ。
NTTと言えば、前身が公社で「官僚以上に官僚」の超硬直組織と言われることもある。
社員数が30万人を超える巨艦・NTTが、なぜ今、制度を変えるのか。
背景にある危機感から、期待される効果、他社も気になる組合など従業員を納得させた方法は。
そして、何より「企画倒れ」になる恐れはないのか──。
「変われない」JTC全般に通用するであろう、「超変革」とも言える制度変更の裏側をNewsPicksだけに語った。
INDEX
  • 「サイソウグミ」と「ソウジンロウ」?
  • 今変えないと、崖から落ちる
  • 挑戦チャンスはむしろ広がる
  • 「エースに人事」は内向きの極み
  • 耳の痛い「NTTの足りない部分」
  • 変えるならいきなりドラスティックに
  • 変革で見えてきた目標設定の弱点
  • 実力主義は、顧客満足につながる

「サイソウグミ」と「ソウジンロウ」?

「最早組」「総人労」──。
この言葉の意味が分かる人は、相当なNTT通かもしれない。
それぞれ「さいそうぐみ」「そうじんろう」と読む。
前者は同期で最もペースが早い出世者、後者はエリートコースとされる「総務・人事・労務」の各部門の所属を指す。
さらに、役所の事務次官レースのような制度も、NTTの人事システムの特徴だった。
従来の制度では、新卒で入社した場合、年齢と在籍年数の兼ね合いで、30代半ばまでは課長に昇進できなかった。
その後、年を追うごとに出世競争を脱落する人が出て、勝ち残った人材が幹部となってきた。
いわゆる、NTTのエリート主義を生み出してきた根本要因だ。
ところが、近年の改革では、それらを一掃した。
実力主義と専門性の強化を掲げ、20代の課長や30代の部長といった、従来ではあり得なかった昇進が可能になった。