【竹中平蔵】「不思議で強運」な岸田文雄を語る
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注目のコメント
岸田総理が、外交安全保障分野では、かつて外務大臣を長く務めた経験もあって、防衛費倍増やG7サミットを通じたウクライナへの支援強化など結果を導出した部分は評価されてよいと思います。
経済は賛否両論あります。「新しい資本主義」を掲げ、①労働力の流動性促進、②貯蓄から投資への促進、③人的資本・非財務情報の開示促進、④AIなど重点技術への投資促進、⑤グリーントランスフォーメーションGXの推進、⑥経済安全保障の強化、⑦スタートアップ支援などをアジェンダセットした点は評価されると思います。
他方、最重要課題ともいえる次世代支援、子育て支援は見通しが明るくないですね。政府は今年「こども未来戦略方針」を策定し、「次元の異なる少子化対策」として、
(1)構造的賃上げ等と併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やす
(2)社会全体の構造や意識を変える
(3)全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援する
を掲げています。これらについて、政府は児童手当など給付拡充は発表していますが、財源負担の制度設計は先送りしてきています。
10月2日に官邸で開催された「こども未来戦略会議」で財源確保に向けた議論がようやく始まりましたが、難航が予想されています。
少子化対策は待ったなしであり、若年人口が急激に減少する 2030 年までに少子化トレンドを反転できなければ、持続的な経済成長も困難となることから、強いリーダーシップが特に期待される分野ではありますが、記事にあるとおり、党内力学や制度をめぐる利害関係もあり、改革は容易ではありません。
6月に日本医師会会長は「少子化対策は大変重要な政策であるが、病や障害に苦しむ方々のための財源を切り崩してはならない」と述べ、少子化対策の財源に社会保障の歳出削減があてられることに異論を唱えています。
改革のために政権の安定は必須ですが、政権が長期化しながらも最も取り組むべき課題で進捗がないと、有権者、とくに若年層から不信は募るかもしれません。
少子化対策のような世代間対立もはらんだ課題を進めるには、リーダーが未来へのビジョンを示し、将来のために当面の痛みを分かちながら前に進むために、批判を恐れず前面に立つ必要があります。今後、そのようなリーダーシップを発揮できるか、注目したいと思います。特集2日目は、小泉政権の総務大臣など様々なポストを歴任し「経済ブレーン」として政権を支えてきた竹中平蔵氏の寄稿をお届けします。
「突発的な事態に対処するのはうまい。ただ絆創膏を貼るように政策を打ち出すため、財政規模が大きくなるばかり」との評価は、非常に明瞭かつわかりやすいものでした。