かつて想像できなかった債券利回り、今や市場のニューノーマルに
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中央銀行がインフレ目標を追って政策金利を抑えた2015年頃からの一時期を除けば米国でもドイツでも10年物国債金利はインフレ率と正の相関を描いています。金利はインフレ率を若干上回る程度にあるのが普通の状況ですから、インフレがつて想像できなかった率で高止まりするとなれば、債券利回りがかつて想像できなかった水準になるのも頷けます。特に驚くに値するほどのことでもないでしょう、たぶん。
「世界の中銀の中で政策正常化で出遅れている日本銀行にとっては、別の大きな試練が待ち受けている」とありますが、欧米諸国が禁じ手として封印する長期金利のコントロールを長く続けた我が国は、金利が極端に抑制されて歪んでいます。日銀が抑え続けることが出来る限り問題は表面化しませんが、インフレが耐え難い率で高止まりして日銀が国債を買うのを止めてインフレを抑えざるを得なくなった時、歪が一気に表面に出て欧米諸国以上の金利上昇圧力が掛かるだろうことは想像に難くありません。世界に類を見ない規模にバランスシートを膨らませた日銀はどのように出口を探るのか。敢えて火中の栗を拾われた植田日銀の舵取りに期待するほかなさそうですね・・・ (・・;米国のマーケットエコノミストは「5%台の政策金利がしばらく続くなんて想像できないし、ありえない。来年FRBは利下げするはず」という気持ちだった状態から、漸くこの数週間 higher for longer、引き締め長期化が米英欧で定着する見通しが織り込まれるように変わってきました。
ただ「新常態」と大げさに言うことではありません。1990年代の米国の政策金利は5%強で「安定」していました。その結果か、インフレ率は3%強から2%程度にまでゆるゆると下がっていき、長期金利も6~7%から、現在と同じレベルの4~5%辺りに、上下動を繰り返しつつ下がりました。インフレ率を抑制するには時間がかかるという教訓は、過去のデータから学ぶことができます。