植田総裁発言受け市場は早期正常化を意識-予想前倒し相次ぐ
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日銀が公表する2022年度の物価見通しは2022年6月段階で1.9%でしたが、7月に2.3%に修正され、10月に更に2.9%に修正されて、2022年度は結局3.0%になりました(コアCPI)。2023年度は1.6%とされていたものが4月に1.8%%に修正され、7月に2.5%に引き上げられました。見えてくるのはインフレ率を実際より低く予想して無理にも金融緩和を続ける根拠とし、予想期限が近付くと後追いで辻褄を合せる日本銀行の姿勢です。政府のエネルギー補助を除けば足元の物価が前年比4%以上上がる状況下、2023年度2.5%もあまりに低い見通しでしょう。
7月に足元のインフレ率を2.5%に上げるに際し、日銀は来年度を2.0%から1.9%に引き下げました。再来年度の見通しを1.6%に据え置いて「(2%というインフレ目標の)持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていない」と主張するためには、致し方のない方策です。しかし、日常的に目にする食品が前年比8.8%値上がりし、家具家事用品が8.4%値上がりする状況下、本当にこれを信じることが出来る国民はいかほどいるものか (・・?
金利を簡単に上げることが出来ない構図を我が国に生み出したのが異次元緩和の負の側面ですが、物価に責任を負う日銀が、これほどのインフレをいつまでも放置し続けられないのは当然です。資源価格の高騰と円安に起因して始まったインフレに賃金上昇と物価上昇の悪循環が加わったら大変です。インフレに追いつかない賃金上昇であったとしても、賃金と物価が連鎖して上がる「情報やデータが年内にもそろう」なら、政策修正はあって然るべしかと思います。
インフレ対策で金利が上がれば税収が増え日銀が受け取る金利も増えるので問題ないと見る向きもあるようですが、政府の税収が増えるのは正にインフレ税で国民にとって耐え難いものですし、インフレ退治のため政策金利を上げたら受取利息の増加以上に日銀の負担が膨らみます。そうした状況下、日銀はどのような手を打つものか。資産購入額の削減→利上げ→量的引き締めと進むのが常道ですが、無制限の国債購入を前提にしたYCCがあるだけに、この手順を踏むのも簡単ではなさそうです。あれこれ予想はできるでしょうが、慎重に事を進める植田日銀の采配を待つほかなさそうですね・・・ (・・;足もとのインフレに照らせば、マイナス金利解除があってもおかしくはありません。インフレ率を引いた実質金利も大幅なマイナス圏ですから、ゼロ金利解除後もまだ緩和的との説明が可能です。ただ、これまで持続的な賃上げの必要性を明言してきました。来年の春闘前にそれをデータで確認するのは難しいと思われ、年内のゼロ金利解除とあってはさすがに唐突感を否めません。7月末のYCC修正時、目的の一つに円安防衛を挙げていましたから、今回も足もとの円安是正を狙ってのことかも知れません。いずれにせよ来月公表する物価見通し(展望レポート)に注目です。