【グリー山岸広太郎】波瀾万丈を超えて、名参謀が最前線を退いたワケ

2015/3/17
2013年10月に始まった構造改革は一段落。一時は沈んでいた社内の雰囲気も、徐々に変わってきたという。「厳しい局面を乗り超えて、社員の表情も変わってきた。残ってくれた社員から皆“やるぞ!”という意気込みを感じます」と微笑む。
2013年11月の組織変更で山岸はウェブゲーム部門の責任者になっていた。だが、「正直、ウェブゲーム市場が成熟期を迎え、厳しい市場になっていた。舵取りが難しい事業局面が予想される中、組織をまとめていくには“自分がやるしかない”と思って引き受けた」と語る。だが、スマホ向けネイティブゲーム(ゲームアプリ)の台頭は想定以上だった。ウェブゲームの売上の落ち込みを食い止めるのは山岸といえども困難だった。

新生グリーに自信あり

そうした市場環境の変化を受け、2014年秋にさらなる構造改革を進めた。ウェブゲームとスマホ向けネイティブゲームなど複数あった事業部門を一元化。それまでは事業単位ごとの自治や運営があり、一部では重複する機能を持っていたが、統合することで組織をスリム化、意志決定のスピードを高めた。「それまでは社内の切磋琢磨が効いているというメリットもあったけど、まず効率化を目指すべき」。これによって事業部門ごとの垣根はなくなり、社内人材も柔軟に活用できるようになった。“新生グリー”に一定の自信をのぞかせる。
会社の変化によって、山岸の立ち位置も大きく変わった。2月4日に開かれた第2四半期の決算会見の席上、山岸の姿はそこにない。2014年9月より新設された、副会長職に就いているのだ。
長らく事業の最前線で戦い続けた山岸はなぜ、副会長に就いたのだろうか。