2023/8/15

【注目】暗号資産の新ブーム「ワールドコイン」とは何か

NewsPicksでは週7日毎日、世界のトレンドの背景を追うシリーズを開始しています。火曜日は「Behind the Scene(ニュースの裏側)」です。
INDEX
  • 80億人の目玉をスキャンする
  • すべての人に「最低所得」を
  • 警戒を強める規制当局
  • 8秒ごとに新たな登録者
  • AI革命の利益を再配分したい
  • 勧誘に詐欺的手法も
  • あなたは眼球データを提供する?

80億人の目玉をスキャンする

7月のある晩、暗号資産(仮想通貨)の熱狂的なファンが集まったニューヨーク・マンハッタンの画廊には、SF小説の一場面のような光景があった。
会場の片側に設けられたバーの向かい合わせに、複数の灰色の台座がストーンヘンジの未来版を思わせるような配列で置かれ、それぞれの台座にボウリングボール大の金属の球体がお披露目されていた。
このイベントは、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)と、彼が共同創業した運営会社ツールズ・フォー・ヒューマニティー(TFH)が手がける暗号資産プロジェクト「ワールドコイン」のローンチを祝うパーティーだった。
低音の音楽が流れる中、参加者たちは光沢のある球体「オーブ」を囲んだ。SF映画「2001年宇宙の旅」の赤色コンピュータHAL9000と、ビリヤードの8番ボールをかけ合わせたような外見の装置だ。
このパーティーは、TFHが「世界を変える」と豪語するプロジェクトの小さな一歩にすぎない。
プロジェクトを通して、地球上にいる80億人の眼球をスキャンしてIDを作り、それぞれのIDに対して暗号通貨を少しずつ分配することで、人工知能(AI)によって激変する世界において人々を助けるというのだ。
(Jutharat Pinyodoonyachet for The New York Times)