(ブルームバーグ): バイデン米大統領は10日、中国の経済問題を「爆発するのを待っている時限爆弾」と酷評するとともに、共産党の指導者を「悪い人々」と呼んだ。バイデン政権は中国の習近平指導部との関係改善を目指しているものの、大統領はあらためて辛辣(しんらつ)な発言を行った。

バイデン大統領はユタ州パークシティーで開かれた政治資金集めのイベントで演説したもので、発言内容には中国経済について幾つかの大幅に不正確な点があった。

大統領はその中で、中国は経済成長が鈍化するとともに、「失業率は最高」で「苦境に陥っている」と語った。また、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」については、このプログラムに関連した途上国への多額の融資を理由に「債務としめ縄」と呼んだ。

さらに、中国は年率8%で成長していたが、「今は年率2%近くだ」と、同国の成長率を誤って発言。「定年退職年齢の人口数が労働年齢の人口数を上回る状況にある」とも話したが、こちらも不正確で数字的にも大きく外れていた。

大統領はその上で、「このため、彼らは多少問題に見舞われている」とし、「悪い人々が問題を抱えると悪いことをするので、これは良いことではない」と語った。

米国にとって最大の地政学的・経済的ライバルである中国に関するバイデン大統領の発言としては、最も直接的な批判のカテゴリーに入ると言える。

対中関係の安定化に向けた政権の取り組みをバイデン大統領がとっさの発言で台無しにしかねない事態を招くのは今回が初めてではない。6月には、ブリンケン国務長官が緊張緩和のための訪中を終えた翌日に、大統領は習国家主席のことを「独裁者」になぞらえ、習氏による国家・軍掌握力にも疑問を表明した経緯がある。

なお、中国の公式統計によれば、同国の人口は昨年に約60年ぶりの減少となったが、60歳以上が2億8000万人なのに対し、労働年齢の人口はまだ8億7600万人に上った。

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原題:Biden Calls China’s Economy a ‘Ticking Time Bomb’ in Fresh Barb(抜粋)

(バイデン大統領の発言内容とその正確性について詳細を追加して更新します)

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