(ブルームバーグ): SUBARU(スバル)は2日、生産や開発面での電動化対応で2030年ごろまでに約1兆5000億円の投資を見込むと明らかにした。

スバルの水間克之最高財務責任者(CFO)は都内で開いた会見で、投資のおよそ半分は電気自動車(EV)の基幹部品である電池関連向けになる見込みだと述べた。1兆5000億円には既に発表している国内生産体制の再編に伴う2500億円の投資を含んでおり、電池への投資方法により大きく変動する可能性があるという。

同時に、電動化目標についても大幅に引き上げた。これまで30年時点でハイブリッド車(HV)とEVの合計で販売の40%以上を目指すとしていたが、EVのみで50%とするとの計画を示した。台数ベースでは60万台のEV販売を目指すという。

地球温暖化に対する懸念が高まる中、ガソリン車やHVに力を入れてきた日系自動車メーカーもEV開発や生産体制の構築を加速する構えを見せている。しかし、EVへの移行では海外メーカーが先行しており、EV普及を推し進める国・地域での日系自動車メーカーのシェア低下は避けられないとの見方もある。

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スバルが主力とする米国でもEVへの税額控除を盛りこんだインフラ抑制法が成立し、EVの普及が進むと見込まれている。スバルは今回、提携するトヨタ自動車のハイブリッドシステムを搭載した車両とEVの生産を米国で行うと発表した。

スバルの大崎篤社長は会見で、従来は国内の生産体制構築を優先する考えだったが、「米国におけるEV化のスピードを勘案すると、この段階で米国生産を判断する時期」だと考えたと説明した。同社はインディアナ州に工場を持つが、米国でのEVを生産する場所については部品サプライチェーン(供給網)の状況も踏まえ「広く選択肢を持って検討を進めていく」と述べるにとどめた。

EVのラインアップの拡充計画も示された。スバルは既に発表していた26年末までに投入予定のスポーツ用多目的車(SUV)のEV4車種に加え、28年末までにEVを4車種追加する。これら新型導入で米国で28年のEV販売40万台を目指すという。

その一方で、安定的・継続的な配当と機動的な自己株取得を実施し、総還元性向は30-50%を目安とする方針も示した。自己資本比率は50%以上と財務健全性も維持するという。

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