(ブルームバーグ): トヨタ自動車は1日、4-6月期営業利益は市場予想(8803億円)を上回る1兆1209億円だったと発表した。半導体不足の緩和に伴う生産回復を背景とした販売増に加え、円安も追い風となった。発表を受けて株価は上昇幅を拡大し、終値ベースで最高値を更新した。

供給制約に伴う販売減や資材高騰の影響を受けた前年同期比では94%の増加となった。販売台数の増加など営業面の努力が6000億円の増益要因と大きく寄与したほか、為替変動による影響も1150億円のプラスとなった。通期(2024年3月期)の業績予想は据え置いた。

トヨタの株価は決算発表後に上昇幅を切り上げ、一時22年1月18日以来の日中高値となる前日比3.3%高の2464円まで値を上げた。終値は同2.5%高の2445.5円となり、ブルームバーグの記録に残る1974年9月11日以来の最高値を記録した。

4-6月期業績:

  • 売上高:前年同期比24%増の10兆5468億円、市場予想9兆8428億円
  • 営業利益:同94%増の1兆1209億円、市場予想8803億円
  • 純利益:同78%増の1兆3114億円、市場予想7643億円

自動車業界では世界的な半導体不足の影響で思うような生産ができない状態が続いていたが、部品供給は正常化しつつある。トヨタも高水準の生産が続いており、円安による追い風もある中、今期は過去最高の営業利益を見込んでいる。

ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、トヨタは部品不足時にも原価低減などの取り組みを継続しており、生産回復の局面で「その成果が一気に現れた」との見方を示した。4-6月期営業利益は「高めで想定を超えた」とし、据え置かれた今期業績見通しについても保守的な為替や台数前提を考慮すれば「失望にはあたらない」と述べた。

トヨタは期初に今期営業利益について過去最高となる3兆円との見通しを示しており、4-6月期で37%と高い進捗率となった。トヨタは見通しを据え置いた理由について、3カ月前に今期見通しを示したときから大きな状況は変化していないと現時点では判断したとしている。

4-6月の地域別では国内の営業利益が7007億円と前年同期比で倍以上となったほか、北米や欧州でも増益となった。連結販売台数は前年同期比16%増の232万6000台となった。

一方、BYDなど現地の電気自動車メーカーが台頭する中国では日系自動車メーカーなど海外勢が苦戦している。トヨタは4-6月期の中国販売台数が前年比8.6%増と善戦したが、利益面では前年同期比で減益となり事業環境の厳しさが鮮明となった。

(更新前の記事で第1段落の日付を訂正済)

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