2023/7/31
【新】猿田彦珈琲創業者、僕は「覚悟が足りない人間だった」
人生の「探求者」たちのエピソードから、自分らしく、しなやかに生きるヒントを探る連載「Life Quest(ライフクエスト)」。
今回登場するのは、人気コーヒー店・猿田彦珈琲の創業者、大塚朝之さんだ。
コーヒー好きであれば、“猿田彦珈琲監修”と記された缶コーヒーを手に取ったことがある人もいるだろう。大塚さんは、その“猿田彦珈琲監修”の人だ。
サードウェーブコーヒーの先駆者としても知られており、日本のコーヒー文化を語る上では欠かせない人物である。
しかし、カフェを立ち上げたいと思ったこともなければ、そもそもブラックコーヒーは飲めなかったそうだ。
大塚さんは一体なぜ、コーヒー界の一線で活躍するようになったのか。
背景をたどっていくと、役者を目指して苦悩した十数年間と、一杯のスペシャルティコーヒーが浮かび上がってきた。(全5回)
今回登場するのは、人気コーヒー店・猿田彦珈琲の創業者、大塚朝之さんだ。
コーヒー好きであれば、“猿田彦珈琲監修”と記された缶コーヒーを手に取ったことがある人もいるだろう。大塚さんは、その“猿田彦珈琲監修”の人だ。
サードウェーブコーヒーの先駆者としても知られており、日本のコーヒー文化を語る上では欠かせない人物である。
しかし、カフェを立ち上げたいと思ったこともなければ、そもそもブラックコーヒーは飲めなかったそうだ。
大塚さんは一体なぜ、コーヒー界の一線で活躍するようになったのか。
背景をたどっていくと、役者を目指して苦悩した十数年間と、一杯のスペシャルティコーヒーが浮かび上がってきた。(全5回)
INDEX
- ブラックコーヒーは飲めなかった
- 進学の決め手は「九者面談」
- 開口一番「大学を辞めろ」
- 吐き気がするほど売れなかった
ブラックコーヒーは飲めなかった
「たった一杯で、幸せになるコーヒー屋」
そんなコンセプトを掲げて創業した猿田彦珈琲は、恵比寿に第1号店を構えてから今年で13年目を迎えました。
ただ、もともとコーヒーショップを立ち上げようと思っていたわけではありません。ブラックコーヒーは飲めませんでしたから。
将来の夢は、役者として成功することでした。
中学生の頃に学校で演劇コンクールがあり、そこで脚本と演技をしたところ、チヤホヤされてしまい役者の道を志したのです。
1人当たりの持ち時間は20分でしたが、1時間50分の超大作を持ち込み、最終的に50分の演劇を披露したところ、先生方に「そっちの世界に進めば?」と勧められ、鵜呑みにしたことがきっかけでした。
持ち時間の倍以上の演劇でなければ納得できないくらいには、ひねくれた性格をしていましたが、人に褒められることはうれしかったんでしょうね。
自分には才能があると勘違いし、同級生の母親が経営するプロダクションに所属して、高校に進学してからも演劇を続けました。