2023/7/28

【直撃】「インフレで企業が儲けすぎ」批判に火をつけた論文

「グリードフレーション(Greedflation)」
直訳すると「強欲なインフレ」。米国で続くインフレをこう表現する人が出てきた。
インフレが進む間に、米国企業の利益率が大きく高まった。消費者は物価高に苦しむ一方で、企業に対し「儲け過ぎだ」との批判が高まっている。
こうした企業の利益とインフレとの関係性を研究したのが、マサチューセッツ大学アマースト校のイザベラ・ウェーバー教授だ。
ウェーバー氏らがまとめた論文『セラーズ・インフレーション、利益と衝突:緊急事態の中でなぜ大手企業は値上げできたのか?』は、世界的な論争を巻き起こした。
論文では競争力の高い「スーパースター企業」が価格を引き上げることで、インフレが広がり、彼らが大きな利益を得たと論じている。
これまでインフレは需要が膨らむことで起こり、中央銀行の利上げでそれを冷やす必要があるとされてきた。
だがウェーバー氏らは、その通説に「待った」をかけた。
ウェーバー氏と共に論文を執筆した研究者のエヴァン・ワズナー氏に、論文の意図を聞いた。
INDEX
  • インフレの要因は「需要」ではない
  • 物価のカギを握る業界
  • 値上げが「川下」に波及した理由
  • 値上げの報道が消費者を動かした
  • 小売りの巨人は利益よりシェアを優先
  • 企業利益と賃金のスパイラル
  • 「グリードフレーション」が独り歩き
  • 「上流のインフレ」に対処せよ