(ブルームバーグ): 企業ブランドが日常会話に浸透し、動詞化することはめったにない。そうしたブランドのオーナーがそれを意図的に破壊する計画を打ち出すのはさらにまれなことだ。

イーロン・マスク氏は23日、ツイッターのブランド名を「X」に変更し、青い鳥のロゴと「ツイート」を含む関連用語を全て廃止すると宣言。アナリストやブランド戦略会社によると、この行動によって40億-200億ドル(約5700億-2兆8300億円)の価値が吹き飛んだという。

ブランド戦略会社シーゲルゲールのブランドコミュニケーション担当ディレクター、スティーブ・スシ氏は「ツイッターが世界でそれだけの価値を獲得するのに15年余りかかった。そのためツイッターというブランド名を失うことは、財務上の大きな打撃となる」と述べた。同社の価値は昨年10月のマスク氏による440億ドルの買収以降、既に大きく目減りしている。

マスク氏は22日夜に変更を発表。24日朝までには、あるファンが週末にデザインした新たな黒い「X」のロゴがサイト上に表示され始めた。リンダ・ヤッカリーノ新最高経営責任者(CEO)はXについて、オーディオや動画、メッセージング、決済、バンキングのサイトになるとのビジョンを示した。

アナリストやブランド戦略会社は、今回の変更は間違いだとみている。ツイッターは最も知名度の高いソーシャルメディアブランドの一つだと戦略会社フェイザーの創業者トッド・アーウィン氏は指摘した。

バンダービルト大学のジョシュア・ホワイト准教授(金融学)は、ツイッター人気で『ツイート』や『リツイート』といった動詞が現代文化の一部となり、著名人や政治家が市民といかに意思疎通を図るかを説明するのに使われていると語った。同大はツイッターのブランド価値を150億-200億ドルと見積もり、スナップチャットに匹敵するとみている。

ここ数年、複数のテクノロジー企業が社名を変更してきた。グーグルは社内のさまざまな事業が検索機能に縛られずに成長できるようにするため、社名をアルファベットに変更。フェイスブックはメタバースへのコミットメントを強調するため、メタ・プラットフォームズに変わった。しかし、ブランド名は以前のままで、われわれは依然としてグーグルにアクセスし、グーグル検索している。

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原題:Twitter Turning Into X Is Set to Kill Billions in Brand Value(抜粋)

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