(ブルームバーグ): セブン&アイ・ホールディングス(7&iHD)は、売却を予定している百貨店事業のそごう・西武について、9月1日に約2100億円で米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却する方向で最終調整に入った。近く開催する臨時取締役会に諮る。複数の交渉関係者が明らかにした。長期化した交渉が最終決着に向けて動き出す。

21日に7&iHDの井阪隆一社長やそごう・西武の林拓二社長、フォートレスの幹部らが東京都内で会い、詰めの交渉を行った。その結果、7&iHDは関係者から概ねの合意を得られたと判断した。

7&iHDの広報担当は詳細を把握していないとコメント。フォートレスの広報に電話取材でコメントを求めたが回答を得られていない。

7&iHDが昨年11月にフォートレスと基本合意した際には、売却価格について、そごう・西武と関連するグループ企業計7社で「企業価値2500億円に純有利子負債などの調整を行い確定する」としていた。

だが、そごう・西武の労働組合がフォートレスの示した売却後の従業員の雇用維持に不透明感が残るなどと懸念を示した。また、店舗計画について地元の豊島区や地権者の西武ホールディングスなどの合意が得られず、細部の交渉は難航した。

フォートレスは家電量販店チェーンを運営するヨドバシホールディングスと組み、そごう・西武の再建を進める方針だ。ヨドバシは西武池袋本店など首都圏店舗への出店を計画している。

そごう・西武労働組合などの懸念は根強く、反発は今後も続くとみられる。雇用を懸念した百貨店のOBが売却差し止めを求めたり、売却価格が低いとして取締役に損害賠償を求める裁判が進行中だ。そごう・西武の労働組合はストライキも検討しており、スト権の確立に向けた投票を22日まで実施、25日に開票結果を発表する。

関連ニュース:

7&iHD井阪社長の続投可決、物言う株主退ける-賛成76.36% (4)

7&iHD、独立社外取締役がIPOやスピンオフ戦略を継続的に検証

バリューアクト、7&iHD井阪社長らの退任を要求-株主へ公開書簡

 

--取材協力:松山かの子、黄恂恂.

More stories like this are available on bloomberg.com

©2023 Bloomberg L.P.