今夏は「観測史上最も暑い」可能性も 偏西風蛇行で異常気象
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「エルニーニョ」「偏西風の蛇行による高気圧の発生」「温暖化」など様々な要因が絡まって今年は猛暑となっています。
ここ数十年で地球が全体的に暑くなっていることは確かでして、その影響で台風等の自然災害が激甚化していることも確かに確認されています。温度が数度変わるだけで、熱中症のリスクは変わってきますし、異常気象の内容や発生頻度も大きく変わってきます。お気をつけください。すでに世界の平均気温が最高を更新したなどというニュースが飛び交っていますが、理由は発生しかかっているエルニーニョ現象と、温暖化によるベースラインの上昇によるものということができます。いっぽうで日本付近についてフォーカスすると、少なくとも6月については、平年比+1.22℃で、1898年の統計開始以降2番目に高い値をつけました。特に北日本で気温が高く、月平均気温の平年差が+2.2℃で、1946年の統計開始以降、6月として1位の高温となりました。東日本・西日本でも気温が平年以下となった地点はなく、全体として気温が高い状態が続いています。7月についても傾向は同様ですので、7月の平均気温も統計開始以降の上位に並ぶでしょう。
原因として偏西風の蛇行が挙げられていますが、夏の時期はもともと上空のジェット気流が弱く蛇行しやすいものですので、これに理由を求めるのは酷でしょう。せめて、ブロッキングという構造が発達していて、日本付近は太平洋からの高気圧に覆われることが多かった、などとしておくほうが良いでしょう。また直近一週間の猛暑はチベット高気圧との重なりによって発生していますが、これも毎年のように生じるものでありそれ自体は特に珍しいというものではありません。
したがって、日本の平均気温が上がってきているのは純粋に温暖化による長期変化でのベースラインの上昇が最も効いていると考えるのが妥当です(100年で1~2℃)。もちろん個別の事例で高気圧に覆われたことによる猛暑というのもありますが、それ自体は夏場にはふつうにみられる現象であり、特別何かジェット気流自体に異変が起きているわけではなく、ベースが引き上げられたことによって気温の記録を更新しやすくなっているという状況です。
ただし結論は結局同じところに来て、8月もまぁ似たような傾向は続くであろうことと、さらに来年の夏は記録を更新するような気温になるかもしれないことは、エルニーニョ現象が今年の冬にかけて極大を迎えることから当然予想できることです。日本においては今のところ温暖化による極端な農産物の生産量の低下はないようですが、今後はこうした数値についてもモニターの必要が出てくるかもしれません。