日銀内田副総裁の発言を読み解く、7月金融政策決定会合で緩和修正はあり得るのか?
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「春闘賃上げ率(ベア相当部分)は約30年ぶりの高水準である2%」、「現実の消費者物価上昇率を大幅に下回っているとはいえ、日銀の物価目標は上回っており」 (@@。
潜在成長率がせいぜい1%台半ばに留まり企業の生産性が上がらぬなか、ベアが消費者物価の上昇率を上回るのを待ち続けたら、日銀は際限なくYCCとマイナス金利政策を続けることになるでしょう。資源価格の上昇とインフレで付いたインフレの火が賃金と物価の共振を起こし、万が一にも3%といった高インフレが長期化したら庶民は堪ったものではありません。10年を超える異次元緩和の歪がそこかしこに溜まっている以上、YCCもマイナス金利政策もどこかで修正せざるを得ないでしょう。植田新総裁ご自身も、長期に亘る異次元緩和が債券市場の価格発見機能を大きく低下させ、利ざやの薄くなった銀行、運用対象が限定的となった機関投資家などによる金融仲介機能に無視できない負の影響を与えていることは、夙に指摘なさっていますしね。
とはいえ「インフレ率の一時的な2%超えで金利引き上げを急ぐことは、経済やインフレ率にマイナスの影響を及ぼし、中長期的に十分な幅の金利引き上げを実現するという目標の実現を阻害する(日経、経済教室、2022/7/26)」というスタンスを就任前から取り続けていらっしゃる植田総裁は、リフレ派の審議員が2名に減って「イールドカーブ・コントロールについては、将来の出口局面における急激な金利変動の回避、市場機能の改善、市場との対話の円滑化といった点を勘案すると、コストが大きい」という意見が出始めても、おそらく簡単に修正には動かれないんじゃないのかな・・・
一方、YCCは事前に修正をアナウンスできない政策だ(⇒投機を呼ぶ)というのも植田総裁が従前、おっしゃっているところです。総裁自身が早期の見直しを頑なに否定されている状況下でも、突然なされないとは限りません。
日銀は、異次元緩和を修正すれば溜まった歪の問題点が一気に表面化するし、続ければ出口で起きる問題が大きくなる二律背反下に置かれています。「日銀内田副総裁の発言」の真意が読み取り難いのもむべなるかな。読み方次第と感じないでもありません f(^^;