2023/7/22

【竹内薫】AIに淘汰されない「思考習慣」を鍛える方法

NewsPicks編集部
圧倒的にAIが進化する時代において、私たちに求められる能力は何か。
それは「仮説を立てて物事を考えること」である──。
そう指摘するのが、今週紹介する新刊『AI時代を生き抜くための仮説脳』(リベラル新書)だ。
著者の竹内薫氏は、サイエンス作家としてAIをはじめ、さまざまな科学情報に精通。
また、2016年に開校したフリースクールの経営経験を踏まえ、主にビジネスパーソンに向けた「仮説思考」の重要性を力強く説く。
よく「AI時代に大事なのは、問いを立てる力だ」と言われるが、ではその「問い」はどう立てるべきなのか?と疑問に思ったことがある方も少なくないだろう。
そんな素朴な疑問に対し、具体的な実践方法を教えてくれる一冊とも言える。
以下、竹内氏をゲストに迎え、「仮説思考」の磨き方を詳しく聞いていこう。
INDEX
  • 想定よりも早く来た「対話型AI」
  • 「仮説思考」の3つのステップ
  • 「数字で見積もる癖」をつけよう
  • 日常生活でも仮説脳は鍛えられる
  • 重要な情報は結局「リアル」にある

想定よりも早く来た「対話型AI」

── 本書のタイトルは「AI時代を生き抜くための仮説脳」。世間は「ChatGPT」の話題で持ち切りですが、サイエンス作家の竹内さんは昨今の動向をどう見ていますか?
やはり、ChatGPTは「対話型」だったのが画期的ですよね。
文章を入力すると、あたかも人と会話しているかのように、自然で丁寧な文章が瞬間的に返ってくる。
リリースされたのが、ちょうど新型コロナが落ち着いてきた時期だったこともあり、「なんかすごいのが出てきたぞ!」という驚きが、多くの人にあったのだと思います。
もっとも、「AIが事務系の仕事を代替する」といった指摘は、10年以上前からありました。それが、ChatGPT登場によって一気に現実味を帯びたのではないかと想像します。
── 本書の主題でもありますが、AIの進化を横目に「人間にしかできないことは何か」を考えざるを得ない時代が来ていると感じます。
まさにそうです。現時点においての人間とAIの決定的な違いを挙げるとすれば、「意識」があるかどうかでしょう。
意識の定義はいろいろとありますが、ここでは自我を持って、ゼロから何かを考えること、というニュアンスで使っています。