生成AIで仕事の能率向上 米大実験、能力差も是正
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ChatGPTの利用を促すと、仕事の効率と品質が向上し、利用率も向上するそう。興味深いので、記事ソースのサイエンスの論文を見つけて読んでみました。
対象
・職業:マーケター、助成金作成者、コンサルタント、データアナリスト、人事専門家、マネージャー
・タスク:プレスリリース、短いレポート、分析計画、電子メールの作成など
実験
・介入群:ChatGPT (GPT-3.5) の登録を促し、有用と感じたら使っても良いと指示
・対象群:特に指示なし(ただし、ChatGPTの利用制限もなし)
結果
・利用:全参加者の70%がChatGPTを知っており、対象群は10-20%が利用したのに対し、介入群は80%が利用(4倍以上)
・効率:対象群の平均27分に対し、介入群は11分の減少(40%短縮)
・品質:他の専門家による評価で、18%向上
・持続:2ヶ月後のChatGPTの利用率は、対象群が27%に対し、介入群は42%(約1.6倍)
つまり、知っていても利用しないけど、勧められると積極的に利用するという結果。これは生成AIの利用促進に価値があると言えそう。
[論文] Experimental evidence on the productivity effects of generative artificial intelligence
https://www.science.org/doi/10.1126/science.adh2586いわゆる「こなす仕事」は低スキル者の生産性が向上し、差が縮まるのは納得です。
ただし、難易度の高い仕事についても、高スキル者がさらに品質や生産性を高める武器になるはずです。これは低スキル者にはそもそも難しいでしょう。なぜならChatGPTに適切な指示が与えられいこと、またアウトプットを正しく評価できないことによります。
今後は生成AI前提で難易度の高い仕事に対して、生成AIをいかに使いこなすか。それがカギとなりそうです。元となった論文は、私たちが肌感的に"便利だ"と感じていたChatGPTの効能を定量的に証明したもので、その感覚は確かなものだったようです(論文はこちらです→https://www.science.org/doi/10.1126/science.adh2586)。
少し内容を踏まえて考察してみると、調査対象となった作業がライティングが主だったこともあって、作業時間の削減幅が40%と大きく、定型作業的な業務効率化に効果をもたらす側面はやはり大きいようです。(文章を代わって生成してくれるので当たり前と言えば当たり前ですが…)
一方で質の方は(その評価方法の是非はさておき)18%の改善と、上の成果よりもやや低い向上に留まっています。こう見るとクリエイティブな部分での効果は、それほど誇大なものではないのかもしれません。
とはいえこの研究結果は、ChatGPTなどの文章生成AIを、私たちがどのような作業に使うとより成果が得やすいか、また"便利さ"を感じやすいのか、その使い道のヒントを与えてくれるもののように思います。
しかし、ふと現実のビジネスを思い出すと、一人の担当者が一つの汎用的な文章をライティングして完結するといった仕事は皆無のようにも思います。通常、書いた文章には上司のチェックが入り、企業としてのオリジナリティを出すように指示されたり、上司の好みによって内容が変化し、お伺いを立てながら修正を繰り返すものです。
そう思うと、あくまでライティング作業に対しての話であって、"ホワイトカラー"とするのには少し誇張があるように感じています。