[東京 13日 ロイター] - ファーストリテイリングは13日、2023年8月期の通期営業利益予想(国際会計基準)を従来の3600億円から3700億円(前年比24.4%増)に上方修正した。新型コロナウイルス禍で低調だった中国も回復するなど、好調な海外事業を背景に最高益を見込む。

IBESがまとめたアナリスト14人の予想平均値3630億円を上回った。

通期の売上収益は前年比18.6%増の2兆7300億円と従来予想の2兆6800億円から大幅に修正した。けん引するのは海外ユニクロ事業で、東南アジア、北米、欧州とも5月までの9カ月間が堅調に推移。下期も各地域で大幅な増収増益を見込む。

厳格なコロナ対策が続いていた中国大陸は3─5月期から復調。3カ月間のユニクロ既存店売上高は4割を超す増収だった。大陸、香港、台湾で構成する「グレーターチャイナ」は下期に大幅な増収増益を見込み、同期として過去最高を計画する。

岡崎健最高財務責任者(CFO)は説明会で中国大陸市場について「想定以上ではあったが、期待通り戻ってきてくれた」と述べた。「われわれの見る限り中国の消費は力強く回復してきているし、低価格帯の生活衣料(普段着)に対する需要も非常に強い」と語った。

国内ユニクロ事業は下期、通期とも増収ながら前年並みの利益になりそうだという。3─5月期は円安による原価率の上昇や、在庫を減らすための値引きで減益だった。足元の6─8月期は売れ筋商品の強化や秋物の早期投入で増益を目指す。

秋冬の商品展開について岡崎CFOは「ごくごく限定的だと思うが、値上げをせざるを得ない商品も出てくるだろう」と値上げの可能性を示唆した。顧客の許容範囲や需要などを見極めていくとした。

岡崎CFOは、海外市場では先行する値上げに伴い成長がみられるものの、国内については顧客が定める「お得感」に加え、需要とのバランスを見極める必要があると指摘。「日本はまだまだ値上げに対して厳しい国」と述べた。

22年9月─23年5月期実績は、営業利益が21.9%増の3305億円と過去最高だった。東南アジア、北米、欧州でユニクロ事業、ジーユー事業が好調を維持。3─5月期は中国も大幅な増収増益となり回復した。国内は円安や値引きなどで増収減益となった。

1株当たりの年間配当予想は280円と、従来の250円から増額した。

(佐古田麻優 編集:久保信博、石田仁志)