2023/7/11

【吉か凶か】「グリーン水素輸出」にかけるスペインの野望

認証アカウント
NewsPicksでは週7日毎日、世界のトレンドの背景を追うシリーズを開始しています。火曜日は「Behind the Scene(ニュースの裏側)」です。
INDEX
  • 欧州大陸の「拠点」を目指して
  • 米国に次ぐプロジェクト数
  • 性急すぎる取り組みへの懸念も
  • 計画の核は海底パイプライン
  • 後れをとる他の欧州諸国
  • 大量生産のカギはPEM型電解槽
  • ライバルはフィンランド

欧州大陸の「拠点」を目指して

この6月、珍しい出来事が起きた。欧州2国の君主が、イベリア半島南端・ジブラルタルの対岸にあるアルヘシラス港に揃って姿を見せたのだ。
目的は、大胆かつ高リスクな「ある事業」にお墨付きを与えることだった。
港に停泊する輸送船の前で、スペイン国王フェリペ6世とオランダ国王ウィレム=アレクサンダーは、新たな航路開拓に調印した。
この航路で運ばれる貨物のなかでも、現代の国王たちがとりわけ重要なものと見なしているのが「グリーンアンモニア」だ。
新航路開拓に調印するスペイン国王とオランダ国王(Nono Rico via Getty Images)