英語力世界トップのオランダが、大学での「英語での授業」を減らそうとしているわけ
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簡単なようでいて、実は悩ましい問題だったりします。
まずは、誰に向けての教育なのかということ。
(特に学部レベルでは)その国の母国語で教育を行ったほうが、国内の教育レベルは確実に上がります。そのかわり、留学生には大変な苦労を強いてしまうことになります。
次に人材確保と流動性の問題。
英語だけで勉強すればその国の言語を学ばないで卒業できてしまうことになります。特にそれが駄目だとは言いませんが、そうだとすると卒業した後その国にとどまることもなく、ほかの国に出て行ってしまうことにも繋がります。優れた人材がその後その国にとどまってくれるからこそ出てくる価値もあります。海外にいると母語で専門性の高い学問を学べるかどうかがその国の知的水準を表していると感じる機会が多いです。日本にいると(それが当たり前の状況になるので)分かりづらいですが、洋書の翻訳本も含めて教科書や専門書の数がアジア諸国に比べると圧倒的に多いことが分かります(その意味で日本は知的に豊かな国だなと思います)。一方で、科学分野では英語は世界共通語になっているので英語を使えないと研究成果である論文を書くことすらおぼつかなくなります。グローバル化でビジネス分野でも英語力は必須なのでしょう。国の知的水準の向上は何十年とかかる一方で、時代の流れで拙速に英語のスキル向上が求められている。難しい問題ですね。
日本で留学生活をし、日本語で博士論文を書いた私としては、むしろ日本語をしっかり理解していないとわざわざ日本で学ぶ理由がなくなるのではないかと思います。大学のグローバル化も大事ですけど、留学の期間はその国の言語や社会を理解する時間にもなるので、個人的には今の方針は決して悪いと思いません。もちろん理系の博士論文などは世界共通の英語で書くので英語の授業でもいいと思いますけどね。