(ブルームバーグ): 中国の電子商取引大手、アリババグループは20日、蔡崇信執行副会長が会長に、呉泳銘氏が最高経営責任者(CEO)に9月10日付でそれぞれ就任すると発表した。新型コロナウイルス禍後の局面で市場シェアを奪われ、成長の回復に苦戦する中、経営のかじ取りを担っていた張勇会長兼CEOが交代する。

蔡氏は共同創業者の馬雲(ジャック・マー)氏の長年にわたる側近で、呉氏は「淘宝(タオバオ)」や「天猫(Tモール)」から成るアリババの電子商取引部門の会長を務めていた。

張会長率いるアリババは今年に入り、グループ事業を6分割し、クラウドや物流、国際電子商取引など各部門が独立した経営を行う新組織体制を発表していた。直近の決算では3四半期連続の1桁増収にとどまったが、張氏は自らの構想について詳しく説明していた。

KGIアジアの投資戦略責任者、ケニー・ウェン氏は「次期CEOと会長がいずれも共同創業者で、馬氏に最も近い点は良いことだ。馬氏はなおアリババの精神的支柱であることを意味している」と指摘。「今回の経営陣見直しが大きな戦略変更を示唆するとは思わない」と語る。

張氏はグループの会長兼CEO退任後もクラウド部門のトップを続ける見通し。同氏は2015年にCEOに就任した後、成長が急加速し、アリババが最も時価総額が大きい中国企業に一時上り詰める中で、会長も兼務していた。

だが、馬氏が20年に自らの発言で中国当局の怒りを招き、同氏やアント・グループに対する締め付けが強まった。それから間もなく、民間のテクノロジー企業への対応も厳しくなり、アリババは独占的な行為があったとして批判され、独禁法違反で記録的な罰金を科されていた。

フォーサイス・バー・アジアのシニア調査アナリスト、ウィラー・チェン氏は今回の人事について、「古いアリババ経営陣が表舞台に戻った」と分析。「新たな成長のけん引役や再編計画が鍵を握ることを踏まえると、これがアリババにとって良いことかは分からない」と述べた。

原題:Alibaba Names Tsai Chairman, Wu CEO in Surprise Shake-Up (1)、Alibaba Names Joseph Tsai as Chairman, Eddie Wu as CEO (1)(抜粋)

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