2023/6/15

【最新研究】「幻覚剤療法」でメンタルを回復させる方法

INDEX
  • 「幻覚剤療法」の功罪
  • 正攻法が「ない」療法
  • 玉石混交の「療法士選び」
  • ①「準備セッション」
  • ②「投薬セッション」
  • ③「統合セッション」
  • 「急拡大」ぶりに懸念も

「幻覚剤療法」の功罪

幻覚剤療法がメンタルヘルスケアの主流に近づきつつある。
米国ではオレゴン州が2020年に、コロラド州が2022年にいずれも住民投票によって、マジックマッシュルームに含まれる幻覚成分「シロシビン(サイロシビン)」を合法化した。
米国食品医薬品局(FDA)も2024年までに、シロシビンをうつ病の治療薬として、また合法麻薬MDMA(別名「エクスタシー」)を心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療薬として承認する見込みだ。
(Makhbubakhon Ismatova/iStock/Getty Images)
難治性精神疾患の幻覚剤療法について、その効果を裏付ける臨床的エビデンスは着実に積み重ねられているが、薬物乱用やトラウマの報告も出ている。
これは幻覚剤というより、心理療法士との関係に起因する問題であることが多い。
性的暴力の事例も明らかになっている。療法士が善意で行った行為が、患者にとっては癒やしどころか有害になったケースもある。
また、最近のある臨床試験でシロシビンが治療抵抗性うつ病の症状を緩和することが示されたものの、被験者のうち3人がその後数週間のうちに自殺思考に陥り、自傷行為に及んだと報告したという。