2023/6/16

【日本発】画像生成AIの「進化と熱量」が凄まじい

NewsPicks NY支局長
流行りのAIと聞けば、誰もが思い浮かべるのは、ChatGPTだろう。
だが、もう一つ負けず劣らずテクノロジーの進化がすさまじすぎる分野がある。
それが「画像生成AI」だ。もしかすると、コミュニティーの熱量でいえば、こちらの方が高いかもしれない。
ChatGPTと同じように、自然言語による指示(プロンプト)で画像を生成するこのテクノロジーは、昨夏の台頭から、信じられないようなスピードで進化し、今や「AIグラビア」が話題になるぐらいのクオリティーになっている。
同時に、少し興味深い現象も起きている。
「画像生成」では、どうやら日本は、世界でも有数のユーザー熱を持っていることが判明しているのだ。実際、例えば、超人気サービスの「Stable Diffusion」でSNS検索すると、日本をはじめ、東アジア圏の画像で埋め尽くされる。
アニメ風の絵柄、ゲーム用のイラスト、はたまたAIグラビアまで、日本のカルチャーと親和性が高いところがあるかもしれない。
このレベルの進化が数カ月、数週間単位で起きる(生成:新清士氏)
政治家からも「珍しく、日本に勝つチャンスがある」という声が上がるほどだ。
もちろん著作権の問題など課題は山積みだ。
しかし一旦、ユーザーの熱量だけを見ると、その清濁と玉石混交の作品群を含め、日本のネット黎明期のような「爆発の予兆」を感じさせるものがある。
実際、この分野の進化は一向に止まる気配はない。
NewsPicksでは、この勃興をユーザーとしても体験し、自らゲーム会社も起業したデジタルハリウッド大学大学院教授の新清士氏に取材し、そのテクノロジーの爆発と、ユーザー周りの熱狂について聞いた。
INDEX
  • 2022年7月の「ビッグバン」
  • 「日本っぽいアニメ」の突破口
  • 「AIグラビア」で荒稼ぎ
  • 止まらない進化。そして日本は

2022年7月の「ビッグバン」

まず発火点は、2022年の7月だった。
米サンフランシスコ発の「Midjourney」がローンチされると、自然言語を用いて高度な画像を生成できる最先端のテクノロジーに世界中が反応し、いきなりツイッターを通して世界中で話題になった。
「この時点で、『ここまでできるようになったのか』と驚きました。ただ、Midjourneyは(メッセージサービスの)Discordのサーバーを使ったりするので、難しい人もいるだろうなと思っていたところ、次に『Stable Diffusion』というもっとすごいのが来るらしいと話題になったのです」(新さん)
うわさ通り8月には、英Stability AI社による「Stable Diffusion」が投入される。
こちらはMidjourneyとは違い、コードなどが公開される「オープンソース」のモデルとしてリリースされた。その間には、ChatGPTを作ったOpenAIによる「DALL-E2」も投入されており、2022年夏は画像生成のビッグバンのようなタイミングだった。