(ブルームバーグ): 政府は脱炭素に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)実現のため、海外資金を呼び込む体制を整える方針だ。例年6月ごろにまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」に明記する。日本をアジアにおける「GX投資のハブ」とし、海外も含めた民間投資の喚起を図る考えだ。

ブルームバーグの取材に対し、複数の政府関係者が明らかにした。GXの実現には今後10年間で官民合わせて約150兆円の投資が必要との政府試算がある。このうち政府は新たな国債を発行して20兆円を賄う方針だが、大半を占める民間資金をどこまで呼び込めるかが鍵となる。

骨太方針は、夏から年末にかけて行われる国の予算編成に先立って、政府が重点施策などをまとめて策定する。予算に影響することから、政策決定を巡る重要プロセスの一つとして位置付けられている。

GXを支えるファイナンスについて、骨太方針の原案では「日本をアジアにおけるGX投資のハブとすべく国際金融センター機能を強化する」との方針を示す。

ただ、国際的な地位向上は容易な道のりではない。英国のシンクタンク、Z/Yenグループが毎年2回公表している国際金融都市ランキングで、東京は今年3月の調査で世界21位と前回の16位から後退。ソウルや中国・深圳にも後れを取る結果となった。

GXを含めたESG(環境・社会・企業統治)分野では、グリーン・ファイナンスの拡大のほか「トランジション(移行)・ファイナンスに対する国際的な理解醸成へ向けた取り組みの強化を図る」ことも盛り込む方向だ。

政府は、水素やアンモニアの化石燃料との混焼などをトランジションの重要技術の一つとみるが、欧州では現状グリーンでないものに資金を投じることへの抵抗感は根強く、トランジションを巡る認識には隔たりがある。

関係者らによると、骨太方針は6月中旬の閣議決定を想定しているという。

骨太方針を取りまとめる内閣府の担当者はコメントを控えた。

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