【ミニ教養】世界が、日本の「AI天国ぶり」に気づいた
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「機械学習天国」と呼ばれるほどの規制の緩さは、明確に緩さを規定しているということではなく、焦点となる著作権法第30条の4に定められている内容が、「曖昧で、拡大解釈ができてしまう」と捉える方が的確なのかもしれません。
また制定された2018年の時点では、当然ながら生成AIを想定したものではなく、単に改正が遅れているという捉え方もできて、現在の実態に合わせた見直しが必要なように思われます。
30条4の一部を抜粋すると以下です。
「著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には,その必要と認められる限度において,いずれの方法によるかを問わず,利用することができる。ただし…著作権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りでない。」
このようなかなり不明瞭な内容なので、明確に用途や権利をカバーができていないというのが実際です。
とはいえ、記事の通り、結果としては各国から熱い視線を注がれているのはチャンスでもあって、この環境をどう活かすかも必要な視点です。
ですが、個人的な懸念は、海外企業が視線を注いでいるのは「日本」ではなく「データ」であるということです。日本国内で制作されたジャパンメイドの優良なコンテンツが、海外企業に無防備に学習利用されるだけで、国内に大した経済的メリットをもたらさないままに終わってしまうと、平等に開かれた日本の「優しい」規制が、自らを苦しめる結果になるのではないかという心配があります。
号砲が鳴ってしまった今、緩めるところ・守るべきところを明確にした上でのルール策定を、早急に進める必要性を感じています。別の視点で見ると、日本はソフトを過小評価するのが要因とも思います。
日本は、製造業が強いことからも分かるように、ハードという目に見えるものに価値を見出しやすく、一方でソフトという目に見えないものは過小評価しがち。企業内のIT部門が冷遇されるのも、その影響の1つ。
だからこそ、AIのための学習データというソフト的なものには寛容だったのかもしれません。AIの学習自体は適法というのは、当時日本語データセットが乏しくAI研究が進まない問題を何とか解決しようとという趣旨で改正されました。盗作はもちろん違法です。
しかし、世界から見れば日本は画像コンテンツ大国なのでした。これが注目された理由の一つでしょう。
また、ChatGPTやBardが日本語でもかなり良い精度が出ている背景にもなっているのではないかと想像します。世界的にはマイナー言語で、かつ言語体系が特殊な日本語が早い時期から対応できたのは私には少し驚きでしたから。