[29日 ロイター] - 中国は、シンガポールで今週末に開催されるアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に合わせて米国が要請していた国防相会談を拒否した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が29日報じた。

WSJによると、米国防総省は「オースティン国防長官と李尚福・国防相の会談を設定するという5月初旬のわれわれの提案を断ると中国が伝えてきた」とし、「競争が対立に発展しないようオープンなコミュニケーションを取ることが大切だ」と説明した。

ホワイトハウスのカービー報道官は先週、米中国防相会談を実現するため国防総省内で話し合いが行われていると述べていた。

オースティン氏と李氏はいずれも6月2日に始まるシャングリラ会合に出席する。周辺国との2国間会談をそれぞれ行う見通しだ。

中国側は拒否の理由を明らかにしていないが、一部の安全保障専門家は、米国が李氏を制裁対象としていることへの不満が背景の可能性があると指摘した。

李氏はロシアからの戦闘機など武器調達を巡り2018年から米国の制裁対象になっている。

シンガポールを拠点とする安全保障アナリスト、イアン・ストーリー氏は中国の会談見送りについて、良い兆候ではないと指摘。「米中間の緊張が高まる中、周辺国は神経を一層すり減らすだろう」と述べた。