2023/5/28

【内田舞】「翻訳できない英語」に対話の知恵を学ぼう

現代社会に巣食うさまざまな課題に、アメリカを拠点に活動する小児精神科医の内田舞さんが切り込む新刊『ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る』(文春新書)
内田さんをゲストに迎えた「今週の1冊」、この後編では「社会を良い方向に変える原動力」のありかを探っていく。
INDEX
  • 「言語化」の力はすごい
  • 違和感の「正体」を捉える
  • 日本語にできない「アドボカシー」
  • 「正義」が叩かれる奇妙さ
  • 日本が持つアドバンテージ

「言語化」の力はすごい

──前編では「同意教育」という、他者とのコミュニケーションのあり方を考え直すアプローチを紹介していただきました。こうした、日本ではまだなじみのない考え方や概念がたくさん紹介されているのも、ご本の大きな特徴ですね。
内田 この本に寄せられた感想で、とても面白かったのが「格闘技の技に似ている」というものです。
格闘技で技をかけられるとき、名前がついている技だと、「今この技をかけられているな」ということで、反応できる確率が上がるんだそうです。逆に、技名で認識できていないムーブにはなかなか反応できない。
これはまさに「言語化」の力だなと思います。