伊藤忠、eVTOLドローンによる血液製剤輸送に関する実証実験を実施
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eVTOLという言葉は空飛ぶクルマを指すように使われるが、ドローンも動力が電気であれば当然そうなる。
ドローンとしては大きめ、また水平方向には揚力を利用して飛ぶ構造に見える。
https://www.drone.jp/special/2022062412444454208.html
血液製剤を空輸で、という観点では、アフリカで同様のことをやっているZiplineが有名。
こちらは固定翼で、離陸はカタパルト!
無人ドローン配送のZipline、時価総額は27.5億米ドルに——日本でも近く医療施設向け配送開始か(2021年7月)
https://newspicks.com/news/5984586
豊田通商によってジップラインのドローンが本格参入(2022年8月)
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/special/1184384.html海外と比べて日本市場におけるドローン物流が今ひとつ盛り上がりに欠けているように思います。
その原因としては下記のような点があげられます:
①道路などの交通インフラが十分に整っているため、ドローン物流の利便性が直感的に理解され辛い
②現行のドローンのオペレーションでは高コストになるため、企業としても既存の配送の代替手法として安易に導入には踏み切れない
③自由にドローンが飛び回れる法整備が整っていない
④ドローンが当たり前に飛び回ることを受け入れる社会受容性が醸成されていない
昨年12月の改正航空法によりレベル4(有人地帯における目視外飛行)が解禁されたことで、ドローンの活用領域が大きく拡大したものの、日常の生活物資を運搬することを目的としたドローン物流は、実証フェーズからはなかなか抜け出せずにいるのが実態です。
その点、血液製剤の輸送は緊急性と定時制の両方が求められることから、ドローンでの配送についての利便性もあり、同時に人命がかかっていることからも一定程度の配送コストについても許容されるであろうことが予想されます。他の物流実証よりもリアリティーのある実証事業となっているように思いました。
また、今回の実証の座組は単に最新鋭の物流用ドローンを飛ばすということだけではなく、血液製剤輸送時に必要となる冷蔵庫や、ドローンに搭載するための特別な保冷容器、病院からドローン離発着地点までの輸送手段など、多くの成熟した企業がそれぞれのスペシャリティを持ち寄ったことで、社会実装に非常に近い形での実証実験でした。スタートアップがひしめくドローン業界の中で、伊藤忠とANAドローンプロジェクトチームが大人の力で牽引したプロジェクトとでもいいましょうか。
海外においてもドローン物流は人命に直結する輸血製剤や医療用品から始まるのが常です。この実証を通じて、よりドローン前提社会の社会受容性が醸成されるといいなと思います高速長距離輸送が可能になることで、被災場所への物資調達だけでなく、車両での移動が難しく、飛行機やヘリコプターでの着陸が難しい場所で輸血が必要な時もこのようなドローンが活用できそうですね。
問題点としては、コストがかかるため、飛行機と同じように軽量で高価なものに限定されてしまいます。将来的には、当たり前のようにドローン輸送になる可能性はあるので、新たな輸送方法として注目したいです。