2023/5/20

【ミニ教養】AIビジネスの「超重要キーワード」

NewsPicks NY支局長
このコラムは、世界のビジネス、テクノロジーのコンテキストを学びつつ、ついでに一つ英単語も覚えられるお得な連載です。

3つのニュースをつなぐ線

単発のニュースだけでは見えにくいことがある。
当たり前だけど、世の中で起きることには背景があって、何かの出来事が「独立」して起きることはほぼない。
ブラウン運動(出所:Francisco Esquembre, Fu-Kwun and lookang)
いやいや、学校で習った「ブラウン運動」のように、不規則でランダムな現象というのはあるじゃないかとか、ここで、確率過程、もしくは非決定論や量子の世界みたいなところまで大風呂敷を広げたいわけではない(そもそもできない)。
ということで、本題に。
今週も当然のように「生成AI」周りのニュースを取り上げるのだけれど、その台風の中心であるChatGPT→OpenAI周りから2つほど、インパクトのあるニュースがあった。
  • OpenAI、新たなオープンソースの言語モデルを準備
👉5月15日、米テクノロジーメディアのThe Informationが、OpenAIがChatGPTなど大規模言語モデル(LLM)について、誰もがアクセスできるオープンソース版の公開の準備を進めていると報じた。
  • OpenAIのCEO、AI開発を「免許制にすべき」と提案
👉5月16日、OpenAI共同創業者であり、CEOのサム・アルトマンが、米上院の公聴会で一定以上のパワーを持つAIについては、安全基準を作った上で、独立した規制機関が「免許」として与える形にすべきと発言した。
👆は実際にアルトマンが議会でしゃべっているところ。
この2つのニュースは一見、同じOpenAI側が主語となった情報ではあるけれど、片やAIのオープンソースとしてみんなに公開、片や限られた人だけの「免許」と相反しているように見えないこともない。
だけれど、これら2つの独立した動きは、その10日ほど前に、AI界隈で話題をさらったニュースとつなげて見てみることで、ようやくその輪郭がくっきり見えてくる。

「お堀」がなくなった

5月4日、semianalysis.comというサイトに、一つの文書が投稿された。