サムスン、日本に半導体開発拠点 素材・装置企業と研究
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記事の冒頭だけを見ると日本に初めて開発拠点を作るように見えてしまいますが、そうではありません。
サムスン電子は1992年に東京に研究拠点を作っており、細々と日本で研究開発を続けてきています。
現在では横浜、大阪の2つの拠点で研究開発を続けており、主に自社開発、および大学との共同研究に力を入れています。
【参考】
https://www.samsung-srj.co.jp/profile/
横浜の拠点では主に白物家電向けの研究がメインでしたが、最近は半導体向けの研究テーマも数多く扱っていました。
半導体の研究開発では、特に小さな回路線幅が要求されるロジック半導体においては高額な設備が必要となるため、大学との共同研究では思うように試作できないという課題があります。
その課題を解決すべく、自前で試作ラインを設けるのが今回の意図だと思われます。
ちなみに半導体の開発を進める上では半導体素子だけの開発、言い換えれば前工程だけの開発をしていては片手落ちであり、ワイヤ配線、接合、封止などの後工程や、製品への落とし込みに際して必要となるプリント基板向け技術など、様々な要素技術開発をすり合わせる必要があります。
横浜周辺にはこれらの要素技術を持つメーカーが多いため、素材、装置企業との共同開発にはうってつけだと感じます。
TSMCは主に前工程を重視して拠点設置場所を選定していますが、サムスンは後工程、製品設計までを見越した研究開発立地場所選定をしていると感じ、今後の差別化がどうなされていくかに注目したいです。試作ラインの設置なので、規模は大きくないと思いますが、とりあえずファウンドリーを作るのだと思います。サムスンは、ファウンドリービジネスでTSMCと張り合っていますので、メモリではないでしょう。
まず試作ラインで様子を見て、うまくいきそうなら、量産ラインに拡張すると思います。日本で工場を作るのは、やはり自動車向け、それも自動運転など、微細化が必要な製品向けでしょう。高機能部材の宝庫でしか出来ない積層型の半導体でしょうかね。3次元LSIが可能だとしたら日本しかないという話はあります。TSMCは既に2ナノの設計事務所を大阪に開設していますし、地政学的優位性もあり、この追い風は活かさないといけませね。