2023/5/12

【分析】日本製鉄がいつの間にか「高収益企業」になっていた

NewsPicks 編集部 記者
鉄鋼業界は「重厚長大の伝統産業」で、「脱炭素時代に衰退する産業」──。
若い世代にとって「鉄」とは、そんなイメージかもしれない。
だが、国内トップの鉄鋼メーカー・日本製鉄(にっぽんせいてつ)は2年連続で過去最高水準の利益をたたき出し、グリーンな取り組みも加速させている。
世界4位の鉄鋼メーカーで一体、何が起きているのか、5月10日に発表した最新決算をもとに6つのポイントでひも解いてみよう。
INDEX
  • 1️⃣ 世界トップから4位に転落
  • 2️⃣ 生産減少でも「増収増益」
  • 3️⃣ 高収益へ「3つの改革」
  • 4️⃣ トヨタも三井物産も提訴
  • 5️⃣ 次の注力事業は「原料とインド」
  • 6️⃣ 脱炭素に「総額5.5兆円」

1️⃣ 世界トップから4位に転落

まず、日本製鉄と世界の鉄鋼業界を簡単におさらいしよう。
「鉄は国家なり」──。
この言葉が示すように、鉄は国力の源泉。日本製鉄のルーツも1901年創業の官営八幡製鉄所(北九州市)にさかのぼる。重工業を発展させ、国力増強に貢献してきた。