「価格競争」で窮地に陥ったデルとマースク、挽回企業が行った4つの戦略
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この記事,デルの方はわかりませんが,マースクに関する記載は気をつけて読む必要があると思います.
マースクに関して,2011年に輸送規模を拡大したのはその通りです.
『2011年当時、欧州航路は相次ぐ大型船竣工もあって運賃市況が低迷していた。その中で同社(マースク)は、大型船のさらなる導入に加えて、積み地から揚げ地までの総輸送日数を保証する新サービスを欧州航路で導入するなど、矢継ぎ早に新しい施策を打ち出した。シェア維持で一歩も引かない姿勢を見せたのである。さらには強気の価格設定で他社のシェアを奪おうとしたとも言われた。』(幡野武彦・松田琢磨『日の丸コンテナ船社 ONEはなぜ成功したのか?』,p.34)
ただし,コンテナ輸送における価格競争は2011年以降も続きましたので,認識違いがあるように思います.ここで示されている運賃も,日頃見ているものとは動向が異なっているので,これをもとに話をされるとしっくりこないです.さらに,2011年はマースクの経営指標がボトムなうえ,コンテナ市況が本格的な苦境を迎えた2015年以降の話が出ていないので,これをそのままそうなんだ,という気にはなれないです.
また,マースクが価格競争から脱するための手法として用いているのはコンテナ輸送と前後した物流業務への進出(物流業への集中もあります)であったり,デジタル化・電子化の大々的な展開です.ここで述べられている内容ですとコンテナ輸送の枠内で物事が解決しているかのように読めますので,その点も指摘しておきたいです.マースクの事は分かりませんが、デルについては見方が逆ですね。デルはコンパックだけでなくIBMを含めたライバルを2社も減らせたので、戦略的には大成功だったんです。また、高価格だったパソコンをひろくあまねく普及させたはデルのおかげという事も言えます。もっと言うと、自分たちの役割をきちんと認識してました。記事タイトルも読み方に注意が必要です。デルの場合は価格競争というよりは、コストリーダーシップ戦略と呼んだ方が正しいです。当時のデルは巨人IBMやコンパックに仕掛ける側で、スタートアップの段階だったわけですから、あれはあれで正しかったわけです。
ただ、PC事業についてはその後が問題でした。パソコンを単なるコモディティ品と定義し、それを信じてしまったために、IBMのPC事業を買収した中国のレノボやコンパックを買収した新生HPの後塵を排する事になります。そのDNAは20年以上経過した今も引き継がれているように見えます。ただし、デバイス関連ビジネスに限っては世界トップシェアのモニター事業や個人向けのゲーミングPCなど高収益ビジネスに取り組んで大成功しています。また、会社全体としてはストレージやエンタープライズソリューションなどにビジネス領域を拡大し、ポートフォリオ自体を大変革しました。要は目線を変えたわけですね。
戦略は時代の流れとともに変化する(させるべき)という事かと。業界の技術力が向上した事により、機能面での差別化が難しい世の中になっている。こういう時こそ、ブランディング強化に走るべきである。
具体的には、サービス力・買いやすさ・経験価値である。
特に経験価値≒体験価値が生活者をファンへ変えるためのとても大切な要素だと思う。