「地震なぜ起きたか分からない」 政府調査委、警戒呼びかけ
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注目のコメント
もともと地震というのはよく分からない代物なのですが、分からないなりにようやく何かを掴みかけている、というのが今の地震研究の偽らざる実態です。天気予報(気象)もそういう意味では似たようなものなのですが、試行錯誤の回数が圧倒的に気象のほうが上で、そのために天気予報の精度はだいぶ向上しました。それでも一週間から10日程度でなければまだ実用的な予報は出せないレベルです。
群発地震というのも曲者で、伊豆半島周辺で見られるような火山性の群発地震であれば、マグマだまりの広がりや地震活動の移動を見ることである程度その行く末を見通すことはできますが、今回は火山性ではありません(能登半島自体が非火山性)。非火山性の群発地震としては長野県の旧松代町(現長野市)で1965年から5年以上続いた群発地震が例として挙げられます。この群発地震は活動域がゆっくり動いたり広がったりしながら、大量の地下水が湧き出たことでも知られています。
今回の地震活動も、活動が活発化した当初は珠洲市の市街地の真下であったのが西、さらに北東へと移動し現在の日本海側の海岸線周辺と移動しています。現時点で大量の地下水が湧き出たり、地盤に水分が入ったことによる地すべりが発生したりといった事象は報告されていませんが、松代の群発地震のように地殻内部の水の挙動が関連しているのではないかという意見が多くの地震学者から聞かれます。
また、能登半島の北岸の海底には活断層がありますが、今回の一連の地震活動の中で大きな地震はほぼこの活断層、ないし並行している同じメカニズムの断層によって発生していると言えますので、地殻内部の水+活断層(しかも海底)という複合的な問題の解を見つけていく必要があります。個々のメカニズムはそれなりに明らかではあるのですが、それをまとめて説明できるデータも仮説もないのが現時点での状態です。こうした事実を一言でいうと「分からない」になってしまいます。「分からない」のも大事です。
判別不可を認めないと判断基準の精度低下が起きます。先日の記事で「学者が警鐘を鳴らさなかったら賠償請求された」というコメントがありましたが、そのような責任追及こそ本末転倒で、発信側も受信側も共に互いの首を締めているだけです。(コロナ関連でも見られましたが)
個人的には確率的に予測するならそれこそAIにさせたら良いのではと思います。そういった感情を排除して判断するだろうし、それらはあくまでも予測であり未来の一つで判断するのは受信側(我々)の責任なのだから。瓦葺の大きな家が倒壊して家族が命からがら逃げ出した阪神淡路以降の大地震を眺めると、殆ど全ての地震が発生確率の低いところで起きています。今回の石川県能登地方の地震もそうでした。
【発生確率のマップ】
https://www.j-shis.bosai.go.jp/maps-pshm-prob-t30i55
大地震が起きた場所はその後に赤く塗られるのが常ですから、今回もおそらくそのようになるのでしょう。「なぜこれほど大きな地震が起きたかは分からない」とのことですが、事後ですらわからないものが事前に分かるはずがありません。
地震は予知できるとの前提で巨額の研究予算が投じられ対策が練られて来ましたが、一つ間違うと発生確率の低い地域の心の油断を招きます。地震の発生確率のマップほどあてにならないものはない、地震はどこでも起こり得ると覚悟して備えるほかないと改めて感じさせてくれる見出しと記事ですね・・・ (・・;