中国外相、ミャンマー訪問 軍事政権トップと初会談
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ミャンマーにとって、中国は、経済においては圧倒的に最大の貿易相手国であり(輸出と輸入でいずれも35%くらい。なお、日本は輸出入ともに7%くらい)、外国からの直接投資額の累計でもシンガポールと並んで最大の国です。
兵器なども、中国製が多く、ミャンマー国軍にとって中国は圧倒的に重要です。
それでは、ミャンマー国軍は中国政府のいうことを何でも聞くかというと、外国のいうことを喜んで聞く国などありません。
ミャンマー国軍は、(北朝鮮的な意味で)ある種の民族主義者であり、中国の強大な影響力を恐れ、経済的にも自給自足、国産化にこだわっています(それが国軍による利権となり、ミャンマーの経済をだめにしているのですが)。
中国はミャンマーに影響力を持ちますが、その影響力の使い方には細心の注意を払わなければなりません。
手綱を握り、できれば首輪をつけねばならず、そうしないと手を嚙まれます。
中国は、ミャンマーのいくつかの少数民族武装勢力(特にワ州)にも兵器を供給しています。結果的に、現在のミャンマー内戦は、国軍の側も民主派や少数民族の側も、中国製兵器で戦っています(一部はインド製)。
中国は、ミャンマーへの影響力を手放すつもりはなく、この内戦を、ミャンマーに首輪をつける機会ととらえています。
そのためには、経済的に一層中国に依存するようにして、中国政府がちょっと匙加減を変えればミャンマーは枯れ果てる、という恐怖を内戦を通して身に沁みこませるでしょう。
中国政府としては、別にミャンマー国軍に味方しようということではなく、首輪をつけられるなら国軍でも民主派でもいいし、何なら両者が内戦を数十年続けるのでもかまわないでしょう。
ミャンマーとしては、貿易してくれるのも、投資して雇用をつくってくれるのも、中国ばかりになれば、中国に依存せざるをえなくなります。習近平政権3期目の外交はこれまでの中国のスタイルとは大きく異なります。習氏の国家主席3期目に決まった日に「犬猿の仲」だったサウジアラビアとイランの和解を発表。ロシア・ウクライナ戦争でも仲介の動きをみせています。こうした「大国外交」を率いるのが秦剛外相です。米国と距離を置いているミャンマーの取り込みに動いています。