【解説】「休み下手」な理由を専門家に聞いてみた
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外資系金融機関で働いていた時は、日本のオフィスでも、1-2週間の連続休暇を年に2-3回取る人が多かったです。かなり前に旅行などの手配を済ませ、しっかり準備をして、休暇を楽しみにそこまで全力で頑張るというのがスタンダードでした。フランス・イタリア・スペインの同僚は更にもっと長く休み、南米の人は1ヶ月近く休んでいました。
外資系IT企業ではシャットダウン(全社オフィスクローズ)があったので、GWのあたりは全員10日間くらい休み、年末年始はクリスマス前から始まって2-3週間(長い人は成人の日過ぎまで)休んでいました。休暇明けにはお互いにどこに行ったか、どんな風に過ごしたかを楽しく語り合う風景がそこかしこで見られたものです。健康的なライフスタイルを維持し、仕事のパフォーマンスを向上させるためにも、休暇は非常に重要だという共通認識が社内にありました。
パーソル総合研究所の小林祐児さんは「リスキリングは経営課題」という書籍の中で、心理学者の宮島健さんと山口裕幸さんの研究について紹介されています。日本の男性社員は、休暇に対する他者の否定的な態度を「過大評価」する傾向にあるのだそうです。言い換えれば「休んだら怠けていると皆が思うに違いない」と過剰に感じているということだと思われます。休むことに対して、実際はポジティブに受けとめている人が増えていることをもっと「見える化」し、共有すれば、「休むことへの抵抗感、罪悪感」を変えていけるのかもしれません。
注目のコメント
今回の取材で意外に感じたのは、有給休暇を取る時期を決める権利が、ヨーロッパ諸国では企業側にあるということでした。
企業が決められるということは、労働者にとっては自由度が少なく、好きなときに休める権利がないということ?と考えてしまうのですが、実はすごく合理的な仕組みです。
まず前提として、ヨーロッパの人たちは有給を使い切ることが多いので、同じ時期に休まれてしまうと企業が回らなくなってしまう。だから年初にみんなで調整していつバカンスをとるかを決め、計画通りに休む。そのために企業が一定の権限を持っているということです。
一方の日本は、労働者側が休む日を決める権利を持っているものの、言い出しづらくて誰も休まない。全く本末転倒です。結局日本人はGWやお盆、年末年始といった「みんなが休むとき」にしか休まない。
日本人が同じ時期に一斉に休むことの弊害は、この特集の第2回で、星野リゾートの星野佳路代表が語っている通りです。
https://newspicks.com/news/8404841
2019年、労働基準法が改正され、5日間だけは企業側が有給休暇の時期を決められるようになりました。今のところは5日だけなので、年末や年度末に「休んでください」と会社からうるさく言われるだけの中途半端な制度です。
でも案外「時季指定権」を企業側が持つことは、日本人の性質にもあっているのではと個人的には思います。「会社から言われたから仕方ない」と言いつつ、2〜3週間休めたらうれしいじゃないですか。
そしてそれを年の始めに、年間の予定として組み込むことができれば、日本はいくらか変わるのではないでしょうか。バカンスは日本人でもとれると思います。どれだけあてはまる人がいるか分かりませんが、個人的には、子どもの塾の講習も長期バカンスが取りづらい原因の一つです。しかも、たいてい数ヶ月前にしか決まらないため前もって計画もしづらいです。
感染症の影響で旅行に行きにくくなり、さらには円安や物価高でホテルや飛行機など旅行に関する全てが高騰し、まとまった休暇が取りづらく休む理由がみつけにくくなっています。
毎年5日間の有給休暇取得義務と、年間5日間の夏期orリフレッシュ休暇、現実はこれらを消化するだけでも大変な日本。
休みをいかに確保するか以上に、「休みをどう過ごすか」がポイントな気がします。
心の豊かさと想像力と欲望が、必要になってきますね。
ここに、新しいビジネスの種がありそうです。