[シドニー 2日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は2日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の据え置き予想に反して0.25%引き上げ、3.85%とした。インフレ率がなお高すぎるとし、妥当な期間内に目標に戻すために「幾らか」の追加引き締めが必要になる可能性もあるとの認識を示した。

キャッシュレートは2012年初頭以来の高水準となった。昨年5月以降の利上げ幅は375ベーシスポイント(bp)で、オーストラリア近代史上最も急ピッチの引き締めとなっている。

発表を受け、豪ドルは対米ドルで1.3%上昇。豪3年債先物は15ティック下げ96.770となった。

3.85%への引き上げを受け、市場は8月までに4.10%に達する確率を60%程度織り込んだ。

ロウ総裁は声明で「豪インフレ率はピークを越えたが、7%という水準は依然として高すぎる。目標レンジに戻るにはまだしばらく時間がかかる」と指摘。

「インフレ率を妥当な期間内に目標に戻す重要性を考慮し、理事会は本日、一段の金利引き上げが正当化されると判断した」と述べた。

<インフレなお難題>

先週発表された第1・四半期の消費者物価指数(CPI)統計はインフレ率が33年ぶり高水準から低下傾向にあることを示した。中銀は今回、今年のインフレ率を4.5%と従来予想の4.75%から引き下げたが、目標レンジ(2─3%)の上限に低下するのは25年半ばと予想した。

BISオックスフォード・エコノミクスのマクロ予測責任者、ショーン・ラングケーク氏は、インフレ率の目標回帰にかかる時間は恐ろしく長く、より高いインフレ予想が定着する恐れがあると指摘。「そうなれば一段の金利上昇につながる。これはある程度景気の勢いを保ちたいと考える中銀が避けようとしていることだ」と述べた。

ロウ氏は利上げが中期的なインフレ期待を固定するのに寄与すると述べた。

ANZと野村は8月にも25bpの利上げが行われると予想した。

一方今回の利上げを予測していたコモンウェルス銀行の豪経済部門ヘッド、ギャレス・エアード氏は、過去の引き締めが個人消費とインフレを抑制するとして、追加利上げの必要はなくなるとの見方を示した。

スーパーマーケットを運営するウールワースのブラッド・バンドゥーチ最高経営責任者(CEO)は2日の決算会見で、食品の値上がりが鈍化する兆しが出ているが多くの分野で高止まりしていると指摘した。

<景気後退リスク>

今年の人口を2.0%増加させる可能性がある移民の増加は家賃上昇を加速させ、物価を押し上げている。

中銀は今回、今年の成長率予想を1.5%から1.25%に引き下げ、失業率は徐々に上昇し25年半ばに約4.5%になると予想した。

AMPのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏はこれ以上の引き締めは経済へのリスクが大きいと警告。

「豪中銀は十分すぎるほどの措置を講じ、金利はピークに達したと考える」とし「ここからさらに利上げすれば、経済がリセッション(景気後退)に陥るリスクが高まる」と述べた。