【ミニ教養】世界一の「脱炭素技術」を持つ日本企業がいた
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注目のコメント
配電系統向けの製品開発に従事していた経験があり、大変楽しく記事を読みました。
世界的に注目されていながら日本ではあまり注目されていない技術に日を当てていただく良い記事だと感じます。
古い話になりますが、第二次世界大戦の頃に日本で発明された八木・宇田アンテナ技術が海外のレーダー性能アップに使われましたが、当の日本軍は全然使っていなかったという話を思い出します。
DC送電とAC送電を比較する際、両者の変換効率も考慮に入れる必要があります。
記事でも言及されていますが、太陽光で発電したDC電流を系統に流す際には一度ACに変換する必要があります。
この変換を担っているのがパワーコンディショニングシステム(PCS)と呼ばれる装置です。
現在世界トップクラスの変換効率を誇るPCSでもその効率は98~99%程度であり、せっかく発電した電力の1%程度が無駄になっていることになります。
この変換効率を上げるのにパワー半導体部品が一役買っており、日本メーカーが世界で高いプレゼンスを誇っている状況です。
(・・・が、あまり世間では知られていないのが悲しいところですね)
PCSの変換効率についてお知りになりたい方は下記のホームページなどもご覧ください。
https://www.tmeic.co.jp/product/pv/pv_pcs/index.html
もし直流送電について詳しく知りたい方がいらっしゃいましたら、NEDOの下記資料も併せてお読みいただくと良いと思います。
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/chokyori_kaitei/pdf/001_05_00.pdfこのHVDCはずっと書きたいと思っていました。
エジソンVSテスラの「電流戦争」は、聞いたことがある人も少ないかもしれません。だた、破れたエジソンの直流が、今この再エネ時代に必須になっていることまでは、そこまで知られていません。
しかも、その弱点を克服し、商用化した企業を、日本のあの大企業が買収しているなんて…。
とてもマニアックではあるのですが、歴史ストーリーとしても、とても魅力的な話ですし、電力システムの「未来」にとってもクリティカルなテクノロジーとして超重要です。
ぜひ、日曜のお供にご覧いただければ幸いです。HVDCと日立のABB買収が触れられていて嬉しい!
HVDCはHigh Voltage Direct Currencyの略。記事にエジソンとテスラの競争で、交流勢が勝った理由として「自由に電圧を変換できる。電気を、発電所から需要地まで長距離輸送するには、高い電圧が必要になる」と書かれているが、ちょっと解説。
まず、自由に電圧を交流は変えられるのは、コイルを二つ使うことで、その巻き数の比率で電圧を変えられるから(家の近くの電柱にも柱上変圧器がある)。直流はこう簡単にいかない。そして、電力の損失は電圧の二乗に反比例する。
現在でも、発電所からは高圧電線で最初は50万Vとかで送電される。そして家庭に近づく中で家の近くでは6600Vまで下げられ、家庭では110V/100Vとなる。こうやって送電損失を下げながら、安全性を担保している
https://www.ksdh.or.jp/information/line.html
そして、ここ15年くらいだろうか、HVDCの注目は上がっていた。特に欧州系が強くABB、Siemens、Alstomの3社。洋上風力や国境を超えるような大規模送電網で必須の技術。
なので、GE / Siemens / MHIが入り乱れていたAlstom買収の頃から、重電再編系の一番のポイントだと思ってコメントしてきた点。
シーメンス、三菱重工と共同でアルストム事業買収検討-関係者(2014年6月)
https://newspicks.com/news/477021
「M&Aなき成長なし」 日立、メガ再編に備え 中西会長兼CEOに聞く(2014年7月)
https://newspicks.com/news/522347
日立、ABBと合弁 日本で送配電事業(2014年12月)
https://newspicks.com/news/744574
日立、最大8000億円で買収 スイスABBの送配電事業(2018年12月)
https://newspicks.com/news/3527463