金融庁、上場企業のPBR改善で東証と協調 行動計画策定
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事は2014年に東証が制定したガバナンスコードにさかのぼります。ここでROE(株主資本利益率、利益/株主資本)8%が努力目標として設定されました。企業経営者は、株主総会での自分の再任(クビ)もかかる事案になったため、最優先でROEを改善しました。それは、分子の利益をかさ上げするために人件費、物的投資、教育投資を削減することでした。日本で給料が上がらなかったことがよく話題になりますが、原因はここにもあったのです。このやり方では将来の成長の芽を摘むことになります。従って、ROEは上がっても将来の成長力を評価する株価は持続的には上がらず、つまりPBRは上がらない、という現実が起こりました。今回の東証のPBR改善のお願いは、DXや生産性の改善で実現するのなら正しい方法です。しかし、自社株買いだけでは、会社は何も変わりません。今度こそ正しい方法でPBRを上げないと、虎の子の内部留保を吐き出すことになることには注意が必要です。DX、脱炭素、人手不足への対応の省力化投資、経済安全保障への投資、生産性改善のためにやるべきことは山ほどあるはずです。
米国株はPBR4倍くらいまで上昇してきましたが、日本企業は1倍くらいで世界最低なのが現状。
東証上場企業の自己資本比率は約50%で欧米は約30%、東証上場企業の自己資本を(内部留保ではなく)自社株買い等で株主還元すれば、ROE(自己資本利益率)が急上昇し株主価値も上がります。
金融庁や東証はアクティビスト的にROE重視の経営を求めているとも言え、日本株的には相当のプラス材料です(一方で東証上場企業にはR&Dや人材への投資も欧米並みに行って欲しいところではあります)。PBRの改善は、株価÷1株純資産。
純資産に満たない株価をつけているような会社(投資家にキャピタルゲインを提供できない会社)には、取引所から退場してもらいましょう。ということだとは思います。
PBRは、株価を上げるか、1株純資産を下げる方策が必要なことだと理解をしました。株価は、需給であり、将来性のある企業だと上がりやすい傾向があります。
一方で、将来性はなくても、よく稼ぎ、加えて株主還元を行っている企業はそれなりの株価になっています。
株価は、投資家の人気投票でもありますので、人気のない企業には退場いただくのは、とても重要かもしれません。
米国上場企業はNY取引証券場とNASDAQ合わせて、6,300社に対して、日本の証券取引所には、3900社あるとのこと。
全世界株式の投資信託(オールカントリー)の国別構成比は、アメリカ62%に対して、日本は5.4%です。
時価総額は10倍以上の差があるのに対して、上場企業数は2倍以下の差しかないことを思うと、上場企業数が多すぎるということなのだと思います。
将来的に成長していかない企業には、投資家が資金を出す必要はないと思いますので、上場廃止を促したり、新規投資を制限するなど新陳代謝を促して、日本の取引所が魅力的な会社に溢れていただけることを願います。