2023/4/26

“ちょうどいいこだわり”が心地いい。本格派が見つけた最適解とは

NewsPicks NewsPicks Brand Design 編集長 / NewsPicksパブリッシング 編集者
こだわるか、こだわらないか。こだわるなら、どこまでこだわるか。
グルメからテクノロジーまで、あらゆる分野でイノベーションが起こる変化に富んだ現代で、こだわりの「本格」を追い求めることは、楽しくもありながら、ときに疲れることもあるだろう。
では、ちょうどいいこだわりを探るとすれば、どのようなものだろうか。
モノに強いこだわりを持つと評判の元プロピッカー迫俊亮氏と、サントリーの事業開発部 部長である酒巻真琴氏の対談から考える。
迫氏は、マザーハウスを経て、29歳の若さで世界的靴修理チェーン「ミスターミニット」を運営するミニット・アジア・パシフィックの社長を務め、同社をV字回復に導き、現在はメルカリの執行役員を務める。
現在、40代を目前にして、どのような境地にいるのだろうか。
山崎蒸溜所でウイスキー古樽を使って貯蔵した「本格派」の梅酒、サントリー梅酒〈⼭崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉の提供でお送りする。
INDEX
  • スタンダードが変わった
  • 「正解」を探してたどり着いた答えとは
  • 自由に飲むのが美味しくて、楽しい
  • “こだわり”に固執しない

スタンダードが変わった

──迫さんは、コロナ禍の真っ只中の2022年1月にメルカリへ入社しています。振り返ってどうでしょう、ワークスタイルやライフスタイルの変化は大きかったですか?
 たしかに大きかったです。メルカリはこれまで私が働いていたマザーハウスやミスターミニットとは異なり、入社した時点から完全リモート。会社に行っても誰もいないのには驚きました。
 以前はどうしても店舗の現場に出る必要があり、世の中のリモート化の流れについていけていないところもあったんです。でも実際リモートで仕事をしてみると、いろいろと工夫すればよいチームをつくれるし、よい仕事ができるんだなと感じました。
 特にグローバルの仕事はかえってやりやすくなりましたね。
 コロナ以前は、新しく仕事をする海外の方々とは、まず出張して対面で会うのが基本。そうでないと門戸が開かない海外企業も多くあった。
 それまでみんな頑なにオフラインにこだわっていましたが、いまはオンラインがスタンダードに変わりました。この変化の好影響もあり、メルカリでは越境サービスを通じた海外からの購入が急増しています。
──ライフスタイルの変化はどうでしょう。
 コロナ禍で家族と過ごす時間が増えたことも実感しています。いまは千葉の外房にも拠点を持って、平日は都内、週末は海辺のデュアルライフを満喫しています。子どもたちも泥にまみれて楽しそうに遊んでいて、よかったなと。
──世間一般にはどんな変化があるのでしょうか。
酒巻 まさに世の中全体でも、家族の時間や家で過ごす時間、プライベートな時間を充実させたいニーズが増してきました。
 その流れを受けて、これまで缶のお酒が中心だったのが、瓶のボトルのお酒を家に揃えてみたり、ご自宅でもよりこだわったお酒を飲みだしたりする方が増えています。
 いまはコロナ禍もだいぶおさまってきましたが、お家でゆっくりお酒を楽しむスタイルは以前より定着してきているようです。
 僕はもともとすべてに対してこだわりが強いタイプというか。マザーハウスやミスターミニットに勤めていたせいもあり、職人の手仕事が好きなんです。
 お酒でいうとウイスキーが好きで、以前はオーセンティックバーで飲んだり、レアなボトラーズのウイスキーを買い漁ったりしていました。
酒巻 ウイスキーには、どんなこだわりがありますか。
 そうですね。その頃は、しっかりとしたこだわりというより、どこかで「最高のウイスキー」「本物のウイスキー」のようなものがあると思ってたんです。
 「最高のウイスキーを探そう」と、ウイスキーの聖地のひとつアイラ島まで観光に行ったりするぐらいで。
酒巻 アイラ島までわざわざ! 今で言う「聖地巡礼」の旅だったんでしょうか。
 まさに。好きになったものの聖地と呼ばれる場所には、一度行ってみることを心がけているんです。ミスターミニットに入るから、スーツを着ることになったぞと思って、スーツをつくりにサヴィル・ロウ まで行ったくらい。
※ロンドンにある通りの名前。オーダーメイドの名門高級紳士服店が集中している、紳士服の聖地。
 いま思い返すと、かぶれていて少し恥ずかしいですね(笑)。ただ、聖地へ行って、つくり手の方々から話を聞くと、そのもののことをもっと好きになれるというか。
酒巻 それは非常に共感できます。私たちはものをつくる側ですが、ものづくりに対して真摯に取り組んできた姿勢は、みなさんに伝わればと思っていて。
 サントリーはウイスキーやビールだけでなく、リキュールやスピリッツへのものづくりのこだわりにも自信があるんです。大阪にはスピリッツ・リキュール工場があり、100年以上にわたるものづくりへの知見があります。
 創業当時、日本では新しい分野だった洋酒の開発を研鑽してリードしてきた技術を大切に、新しいものを生み出していく経験を積み重ねてきたのがサントリー。迫さんのような楽しみ方は、つくり手側としてもうれしいですね。
 ちなみに、迫さんは「最高のウイスキー」にたどり着いたんですか?

「正解」を探してたどり着いた答えとは

 それがいろんな蒸溜所に行っては「最高のウイスキーはどれですか」って、ちょっとうざい質問をして回っていたんですよ(笑)。
 それでブルイックラディという蒸溜所に行ったとき、ちょうどピート(泥炭)※ を掘って、泥だらけで帰ってきた社長に、「好きな酒は見つかったか」って言われて、「いや、今のところ……。あなたにとって、最高のウイスキーって、どれですか」と聞いたんです。
※ピート(泥炭):モルトウイスキーの香りを特徴づける重要な材料。スコットランド北部の原野に多い野草や水生植物などで、炭化したもので、ピートをいぶした香りが麦芽につくことによって、ウイスキー特有のスモーキーな香りが生まれる。
 そしたら、「ちょっと待ってろ」って言って、10本ぐらいウイスキーを並べて開けだしたんですよ。いろいろ飲んでみろと。
酒巻 わあ、素敵ですね。
 飲んでみると、味も香りも本当にぜんぜん違う。それで長年ウイスキーをつくって、飲んできた社長がこう言ったんです。
「俺にとって最高のウイスキーなんて、存在しない。
 雨の日にひとりで飲むとき、妻とふたりで飲むとき、家族での食事で飲むとき。それぞれ飲みたいウイスキーは違う。どんな時に誰と飲むかによって違うはずだ。
 だからアイラ島ではいろんな蒸溜所がさまざまなウイスキーをつくっているんだ」
 そのオーナーの言葉がすごく響いて、確かにそうだなと腹落ちしたんです。
酒巻 正解を探しに行ったら、正解がないことがわかったというか。
 まさにそうですね。
 よく考えてみたら、1杯5千円の希少なウイスキーだって、本当にその味を楽しんでいたかというと、「いま行かないとなくなる幻の一杯だ」みたいな強迫観念に駆られていただけのような気がして。
 それ以降は、値段やブランドを気にせず、スコッチでもバーボンでも、気になるものは何でも、どんな飲み方でも飲んでみよう、という考えに変化しました。
酒巻 たしかにこだわりを突き詰めることって、楽しさもあるけど、それに疲れちゃうこともありますよね。
 でも出会いによって考え方が変わって、その後のお酒の楽しみ方に広がりが生まれるというのは、素晴らしい体験だなと思います。
 いまでもブルイックラディのウイスキーをみると、アイラ島で一緒に飲んだおじさんの顔がくっきりと浮かんできます(笑)。

自由に飲むのが美味しくて、楽しい

酒巻 実は本日、ウイスキーの古樽で貯蔵した梅酒をブレンドした「サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒ブレンド〉」をお持ちしたんです。
 梅酒をウイスキーの古樽で、ですか。
酒巻 そうなんです。
 ずっと甘くないお酒や本格的なお酒を飲み続けていると、ときどき気をゆるめたいことがあると思います。そんな人にも自分向けと思っていただけるような、本格的で味わい深い梅酒をつくってみました。
 まずはロックで一口楽しんでみてください。
 ありがとうございます。飲みやすさに加えて余韻が長く楽しめますね。
 最近家で飲むことが増えたので、ハードなものばかりだと疲れるな、というのは感じていました。
酒巻 梅酒は甘くて飲みやすい、女性や若者向けのお酒というイメージが強いかもしれません。でもこの梅酒は甘すぎず、樽の香りの奥深さが複雑味を出していて、大人の男性にもおすすめなんです。
 おすすめの飲み方はありますか?
酒巻 そこは、こだわらず自由に飲んでいただきたいお酒です。
 しいて言うなら、ご自宅や食事中では、ソーダ割りで楽しむ方も多いですね。ぜひソーダ割りもどうぞ。
 ああ、いいですね。ハイボールよりも飲みやすいので、和食でも洋食でも幅広く合わせられそうですね。
 最近は週末に外房の家で飲むことが多くなって。食事中にウイスキーのストレートはちょっと違うなと(笑)。食事に合わせて、ビールはもちろん、ウイスキーをソーダ割りにすることも増えました。そのラインナップに、この山崎梅酒も加えて、ソーダ割りで楽しみたいですね。
酒巻 自由に飲み方を楽しむには、瓶で揃えてもらうのもいいですが、より手軽に楽しみたい方にはソーダ割りの缶タイプ(ファミリーマート限定)がありますので、ぜひ試していただければと思います。

“こだわり”に固執しない

──迫さんが今あらためてこだわりたい、大切にしたい価値観はなんでしょうか。
 そうですね。昔サヴィル・ロウまで行くほどこだわってつくって長年サステイナブルに使えるようにメンテナンスしながら着用していたスーツも、コロナ禍でほとんど着なくなりました。いまはスーツよりもパタゴニアのような、サーフィンや農作業などでも着やすくてサステイナブルなモノづくりをしている服を着るようになりました。
 そう考えると、まさに今日のお話にもつながるんですが、物事の「多様性」かもしれません。
酒巻 多様性。ビジネスシーンでもよく聞かれる言葉ですが、個人の生活全般でも意識するんですね。
 ええ。「これしか認めない」と決めつけるより、興味があるものもないものも幅広く知ることで、想定外に楽しめたり、経験値も増えるなと実感していて。
 過去楽しんだモノを自分の価値観の変化とともに、また同じように楽しんでくれる人に渡していくことが出来るメルカリのようなフリマサービスはこの観点でも価値があると感じています。
 今は国内に閉じた売り買いが中心ですが、今後は越境サービスを通じて世界中でモノが循環し、多様なモノとの付き合い方を楽しめる生き方をGlobal Marketplaceとして支えていきたいと考えています。
 それこそお酒も、気分や体調によって飲むものも飲み方も変えるほうが、おいしくて楽しい。着るものも住む場所も、働き方も同じ考えかもしれないですね。
酒巻 それはやっぱり、過去に強いこだわりを突き詰めたからこそ気づいたんでしょうか。
 それはそうかもしれません。若いうちは仕事もそれ以外も、「この道しかない、こうじゃないと死ぬ」みたいな感じでやってきました。でもいろんな方に出会って、尊敬できる方はみんな、そんなに肩肘張っていないことに気づいて。もっと余裕を持って楽しんでいるなと。
 人って時間と共に、考え方もライフスタイルも、だんだん変わっていく。それに伴って、これまでのこだわりがどうでもよくなったり、新たなこだわりを持ったり。
 ひとつのことに固執するよりも、いろんなものを楽しむほうが今の自分にはしっくりきていますね。
酒巻 それでも、変わらないこだわりはありますか?
 それで言えば、背景にストーリーのあるものが好き、というこだわりは変わってないですね。変わらないこだわりはしっかり持ちつつ、変えるところは変える。まだ模索中ですが、以前よりは“ちょうどよく”こだわれているのではないかと思います。
酒巻 そんな迫さんには、プレミアムシリーズ、サントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉EXTRA BLENDもおすすめです。
 実は2023年は、サントリーが“洋酒づくりの知見”をもとに、熟成やブレンド、蒸溜技術を用いた“革新的な梅酒づくり”を始めてから60周年にあたり、その節目にお届けする特別な梅酒なんです。
ウイスキー古樽を使用して山崎蒸溜所で5年間熟成した特別な梅酒に、その味わいと香りをさらに引き立たせるために梅酒樽で長期熟成したモルトウイスキーをブレンドしたサントリー梅酒〈山崎蒸溜所貯蔵梅酒〉EXTRA BLEND
  化粧箱には近代日本画の巨匠、横山大観氏の大作『生々流転』の絵を誂えてありまして、和のお酒である梅酒と洋のお酒であるウイスキーの融合と、サントリーならではの洋酒づくりの知見を活かした梅酒づくりというストーリーを表現しています。
 今日はお持ちしてないのですが……。
 これはいい出会いなので、特別なときのために買わせていただきます(笑)。
お問い合わせ先:サントリーお客様センター
https://www.suntory.co.jp/customer/
※20歳未満の飲酒は法律で禁じられています。お酒は適量を楽しみましょう。