ユナイテッドアローズが描いた「百貨店」ならぬ「十貨店」戦略

2015/2/17

ワールドの関連会社として出発

1989年10月2日、株式会社ユナイテッドアローズは正式に発足。私が代表取締役社長、岩城が専務取締役となり、ワールドの永田喜則常務が代表取締役会長に就任した。
オフィスはワールドが所有していたビルを間借りしたが、事業面に関しても、ワールドの畑崎社長は私たちの要望を最大限聞いてくれた。なかでも最も大きな支援は、社名を冠したユナイテッドアローズ1号店の渋谷店と、原宿本店の土地と建物を提供してもらったことだ。特に原宿本店は、ワールドが原宿に建設を計画していたリカルド・ボフィル氏設計のビルを使わせてくれることになった。
リカルド・ボフィル氏は、スペインの著名な建築家だ。日本にある作品としては、ユナイテッドアローズ 原宿本店のほか、青山パラシオタワーや東京銀座資生堂ビル、ラゾーナ川崎プラザが挙げられる。
私は設計図を見せてもらった瞬間に、ここをユナイテッドアローズの旗艦店にしたいと望んだ。とはいえ、そのビルが完成するのは3年後の1992年だという。
一日でも早く自分たちの店を持ちたいという私たちの気持ちを理解してくれた畑崎社長は、渋谷と原宿のほぼ中間にあたる明治通り沿いの社有地にビルを建てて、そこを貸してくれた。
1990年7月、ユナイテッドアローズの記念すべき1号店として、渋谷店がオープンした。