植田日銀総裁、9日に就任 人事を閣議決定、10年ぶり交代
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植田氏の2006年の公共系の寄稿で、人柄がにじみ出ている文章を紹介したいです。当時、審議委員の経験から、学者が政策決定に関わる意味について思いを巡らせていました。
日本の金融政策の「ゼロ金利政策」について、米国の経済学者が「デフレ下では最適な金融政策だ」と理論的に述べたことをありがたく拝聴していたと述べています。
たしかに、ゼロ金利政策やマイナス金利政策は日本独自の金融政策であり、世界には例を見ない政策です。
だからこそ、日本で政策決定を見ている国内の学者がオリジナルの理論を展開するべきではないのか、というのが植田氏が寄稿で主張した意見があります。
海外からの輸入学問は必要だが、2006年当時の日本では、独自の政策を国内の学者が支え切れなかった。そのことに対する悔しさが植田氏にはあったようです。
しかし寄稿の最後には、未来永劫そのような状況ではなく、将来的に「国内の学術×実務」が花開く未来も、また予想していました。それから20年以上たち、まさに植田氏が思い描いていた未来を実現するタイミングに来ているのではないだろうか。相当に難しい舵取りになるわけですが期待しかないです。
また3月20日に既に就かれている副総裁=前金融庁長官の氷見野良三氏と前日銀理事の内田真一氏にも期待大(私見では今後は総裁だけではなく副総裁もコミュニケーション出て来られた方が好いのではと想います)。金利が欧米並みに上昇したら耐えられない歪が極端な量的緩和とYCCで諸方に溜まった中での船出です。緩和の出口を探る素振りを見せれば金利に上昇圧力が掛かるなどして問題が一気に表面化する可能性がありますし、景気に及ぼす悪影響も大きそう。だから緩和の継続は避けられないところです。とはいえ今の緩和をそのまま続ければ歪が更に拡大し、緩和の出口で起きるだろう問題が膨らみ続けるのは必定です。
日銀の目論見通り遠からずインフレが鎮静化すれれば緩和が継続できて取り敢えずは安心ですが、異次元緩和で大きく進んだ円安による生産コストの上昇は、一旦価格転嫁に火が付くとじわじわ物価を押し上げ続ける要因になるでしょうし、賃金上昇がサービス価格を押し上げて物価と賃金の共振的な上昇が本当に始まると、実態的に4%台に達したインフレが長期に亘って継続しないとも限りません。そうなれば国民の不満が増しそうです。
追加緩和の余地が乏しく引き締めリスクが極めて高い中、日銀出身者が引き受けようとしないポストを引き受けて火中の栗を拾われる矜持に敬意を表したく思います。金融政策の専門家中の専門家とされる新総裁の采配に大いに期待しています。 (^.^)/~~~フレ!