[31日 ロイター] - <為替> ドルが対ユーロで上昇。しかし、週間では5週連続で下落する見通し。朝方発表された米個人消費支出(PCE)価格指数の伸びは鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)がさほど積極的な利上げを進めないという観測が広がった。

2月のPCE価格指数は前月比0.3%上昇、前年比5.0%上昇で1月(前月比0.6%上昇、前年比5.3%上昇)から減速。前年比の伸びは2021年9月以降で最小となった。

欧州連合(EU)統計局が発表した3月の消費者物価指数(CPI)速報値も前年同月比の伸び率が6.9%に急低下。しかし、コア指数は伸びは加速した。

コンベラのシニアマーケットアナリスト、ジョー・マニンボ氏は「米個人消費の鈍化とインフレ緩和はFRBが停止に近づいているとい見方と一致する」と指摘。半面、欧州でコアインフレが加速したことは、「年内に欧州中央銀行(ECB)がFRB以上に利上げを実施するという観測と整合する」と述べた。

ユーロ/ドルは0.48%安の1.0852ドル。ただ、週間では0.8%値上がりし5週連続上昇した。これは20年8月以降で最長となる。

エクイティ・キャピタルのマクロエコノミスト、スチュアート・コール氏は「FRBが5月に0.25%ポイントの追加利上げを実施し、それで打ち止めになる」と予想。「これはユーロ/ドルにとりプラス材料となるだろう」と述べた。

豪ドル/米ドルは0.45%安、ニュージーランドドル・米ドルは0.1%安。 中国国家統計局が発表した3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が51.9と、2月の52.6から低下したことが材料視された。

ロイターの調査によると、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の4月4日の会合を巡り、政策金利の0.25%ポイント利上げか据え置きかで、エコノミストの見方が拮抗している。ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)については4月5日の会合で0.25%ポイント利上げの予想が大勢となっている。

ポンド/ドルは0.4%安の1.2337ドル。22年第4・四半期の国内総生産(GDP)確報値は前期比0.1%増と、景気後退を辛うじて回避したものの、景気見通しを巡る不確実性が嫌気された。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは1.1%高の2万8340ドル。

<債券> 利回りが低下した。インフレ鈍化を示す経済指標のほか、投資家が四半期末に向けて債券購入に動いたことから、2年債利回りの月間の低下幅は2008年以来最大となる基調にある。

投資家は銀行システムへのストレス再燃を警戒しており、最近の銀行破綻を受け融資基準の厳格化が経済に与える影響を見極めたいとしている。

米商務省が31日発表した2月の個人消費支出(PCE)価格指数は伸びが鈍化した。ただ、なお高水準で推移しており、米連邦準備理事会(FRB)が年内にあと1回追加利上げを実施する裏付けになる可能性がある。

マニュライフ・インベストメントマネジメントのシニア債券トレーダー、マイケル・ロリツィオ氏は「このデータは、ある程度の経済減速や、一定のインフレ圧力緩和を示すものだ」と述べた。

FRBの利上げサイクルの終わりに近づいているとの期待から債券需要が高まったほか、月末および四半期末のリバランスも、この日の利回り低下の一因となった。

指標となる10年債利回りは6ベーシスポイント(bp)低下し3.494%となった。月間では42bp低下と、20年3月以来の大幅なものとなった。

2年債利回りは3bp低下し4.067%。月間では73bpの低下となり、08年1月以来の大幅低下を記録した。

2年債と10年債の利回り格差はマイナス58bpだった。

<株式> 続伸し、主要株価指数は軒並み1%超高となった。インフレ鈍化の兆候を受け、米連邦準備理事会(FRB)が近く積極的な利上げサイクルを終了する可能性があるという期待が強まった。ナスダック総合は四半期ベースで2020年4─6月期以来の大幅な伸びを記録した。

S&P総合500は終値としては2月15日以来の高値を付けた。四半期ベースでは情報技術が21.5%上昇したことを手掛かりに、2四半期連続で値上がりした。

今月の米地銀破綻や金融危機の可能性を巡る懸念から銀行株が売られたことで、金融は四半期ベースで6.1%、KBW地銀株指数は18.6%それぞれ下落した。

米商務省が31日発表した2月の個人消費支出(PCE)価格指数は伸びが鈍化した。前月比0.3%上昇、前年比5.0%上昇で1月(前月比0.6%上昇、前年比5.3%上昇)から減速した。前年比の伸びは2021年9月以降で最小だった。

LPLフィナンシャルのチーフグローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「株式市場は小幅ながらもインフレの鈍化を歓迎しているようだ。FRBの利上げが緩慢なペースではあるものの、効果を発揮していることを明示している」と述べた。

CMEグループのフェドウオッチによると、米短期金利先物市場が織り込む5月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%ポイント利上げ確率は50%程度に低下。据え置き予想もほぼ同水準となっている。

米ボストン地区連銀のコリンズ総裁は31日、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを停止したとしても、その水準を当面維持することがインフレ率の2%目標回帰に重要と述べた。

第1・四半期としてはナスダックが16.8%、S&Pが7%、ダウ工業株30種が0.4%それぞれ上昇した。

ナスダックは月間でも6.7%上昇した。

半導体が好調で、フィラデルフィア半導体は四半期ベースで27.6%値上がりした。

銀行株が売られ、米2年債利回りが低下する中、大手ハイテク株に買いが入った。

アップルは1.6%高。アップルのモバイルブラウザとクラウドゲームサービスの市場支配に関する英規制当局の調査に対する不服申し立てが認められたことが材料視された。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を4.78対1の比率で上回った。ナスダックでは2.45対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は119億8000万株。直近20営業日の平均は127億4000万株。

<金先物> インフレ鈍化を示す指標を受けていったんは買われたものの、その後は利益確定 の売りなどに押され、反落した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は、前日比11. 50ドル(0.58%)安の1オンス=1986.20ドル。月間では8.14%高。

<米原油先物> インフレ関連指標の鈍化を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)による早期の利上げ停止観測が改めて台頭し、需要拡大につながるとの期待感につながった。米国産標準油種WTI中心限月5月物の清算値(終値に相当)は前日比1.30ドル(1.75%)高の1バレル=75.67ドルだった。6月物は1.31ドル高の75.80ドル。

ドル/円 NY終値 132.79/132.82

始値 133.38

高値 133.39

安値 132.63

ユーロ/ドル NY終値 1.0839/1.0843

始値 1.0867

高値 1.0901

安値 1.0838

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 99*17.00 3.6507%

前営業日終値 97*26.50 3.7460%

10年債(指標銘柄) 17時05分 100*07.00 3.4733%

前営業日終値 99*18.50 3.5510%

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*06.00 3.5836%

前営業日終値 99*26.50 3.6630%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*22.13 4.0376%

前営業日終値 99*18.38 4.0990%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 33274.15 +415.12 +1.26

前営業日終値 32859.03

ナスダック総合 12221.91 +208.44 +1.74

前営業日終値 12013.47

S&P総合500種 4109.31 +58.48 +1.44

前営業日終値 4050.83

COMEX金 6月限 1986.2 ‐11.5

前営業日終値 1997.7

COMEX銀 5月限 2415.6 +16.7

前営業日終値 2398.9

北海ブレント 5月限 79.77 +0.50

前営業日終値 79.27

米WTI先物 5月限 75.67 +1.30

前営業日終値 74.37

CRB商品指数 267.7272 +3.3468

前営業日終値 264.3804