(ブルームバーグ): バイデン米政権は中規模銀行の規制を強化するよう関係当局に求めている。米地銀2行の経営破綻につながった銀行危機に対応する新たな措置となる。

ホワイトハウスは30日、複数の連邦銀行監督機関に対し、規制強化に向けた一連の変更を実施するよう求めたと発表。いずれの措置も議会の承認は必要ないという。

銀行規制緩和は行き過ぎた可能性、危機の原因にも-米財務長官 (1)

一連の変更には、資産規模1000億-2500億ドル(13兆2500億-33兆1000億円)の銀行を対象とした各規則の復活を含む。流動性要件やストレステスト(健全性審査)強化、「生前遺言」(経営破綻時の事業整理計画)などだ。この規模には破綻したシリコンバレー銀行(SVB)も該当する。

この他の主な変更案は次の通り。

  • この資産規模に該当する銀行のストレステストを2年ごとから毎年実施
  • 銀行資産が1000億ドルにいったん達してからストレステスト実施までの期間短縮
  • 銀行が金利上昇に確実に持ちこたえることができるよう監督手段の強化

ホワイトハウスは、破綻した米銀2行(SVBとシグネチャー・バンク)の保険対象外預金を救済するための保険基金の底上げを地銀には負担させない方針を支持。米連邦預金保険公社(FDIC)に対し、地銀に負担させることなく同基金を拡充するよう求めた。

FDICは中小銀行の負担免除を、預金保護で-議員らが公聴会で訴え

バイデン政権の方針を記者団に説明したホワイトハウス当局者は、最終的な判断は各規制当局に委ねられると説明。ただ、提案の準備で各当局とは事前に協議を行ったと明らかにした。

今回の変更案には国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長の影響力が反映されている。連邦準備制度理事会(FRB)副議長だったブレイナード氏はかねて、トランプ前政権時の2018年に成立した規制緩和の法律が行き過ぎた内容だと警告していた。

SVBとシグネチャー・バンクの破綻を受けた銀行危機の初期段階に、バイデン大統領の最側近としてブレイナード氏がいたことで、最初の対応がスムーズに運んだ面もある。複数の当局者は、同氏が特に銀行混乱の波及を沈静化する上で重要な役割を果たした点を指摘した。

原題:White House Proposes Tougher Banking Rules Following Crisis (2)(抜粋)

(変更案の詳細やブレイナードNEC委員長の役割などを追加して更新します)

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