[ワシントン 27日 ロイター] - 世界銀行は27日発表した報告書で、労働力供給や生産性、投資を促進する野心的な取り組みを政策当局が採用しない限り、2022─30年の潜在的な世界経済成長率は年平均2.2%と約30年ぶりの最低の水準に陥りかねないと警告した。2011─21年の年平均2.6%を下回り、2000─10年の年平均3.5%の約3分の2に相当する。そうなれば世界経済にとって「失われた10年」となると警告した。

報告書では予想される潜在的な国内総生産(GDP)成長率の広範な鈍化を覆すことができなければ、気候変動対策や貧困の低減に対する世界の取り組みに重大な影響を及ぼすと指摘した。

しかし、持続可能な分野への投資を促進すると共に貿易コストを削減し、サービスの成長を活用し、労働力参加拡大の協調的な取り組みを実施すれば潜在的GDP成長率を最大0.7%ポイント押し上げ、2.9%へ引き上げられるとの見方を示した。

世銀のチーフエコノミスト、インダーミット・ギル氏は「世界経済にとって失われた10年が進行している可能性がある」とした上で、労働市場を刺激して生産性を高め、投資を加速する政策を進めればこの傾向を覆すことができると言及した。

報告書では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)やロシアのウクライナ侵攻といった過去数年間に重なった危機で約30年続いた経済成長が終わり、生産性の鈍化に対する不安も増大していると指摘した。