ゴードン・ムーア氏死去 インテル創業「ムーアの法則」
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インテルについて、日本ではあまり知られていない極めて重要な経営判断があります。まだインテルが小さな規模だったころ、日本の半導体大手企業がシステムLSIをインテルに外注しました。インテルは、仕様通りに作るには特注の半導体の開発に無理があると判断しました。そこで、半導体を汎用の安価なものとし、代わりにソフトウエアを精緻にする構造としました。こうして完成したシステムLSIを納入したとき、インテルは代金はいらないので特許を欲しいと申し出ました。そしてその通り、特許を得たことが、ソフトウェアの革新、そしてインテルの快進撃に繋がっていったのです。当然ムーアはこのディールを主導したことでしょうね。そして今、同じことが自動車業界で起ころうとしています。
ゴードン・ムーアさんは、ムーアの法則で有名ですが、半導体業界で知らない人はいないほど有名な人です。フェアチャイルドセミコンダクタを設立、トランジスタから集積回路へと発展させました。ムーアの法則を提案した当時はまだ、アナログICがほとんどでしたが、デジタル化を予見していたようです。集積度向上に適したデジタルICは、MOSトランジスタの実用化によって進化してきました。
フェアチャイルドを退社してロバート・ノイスさんと共にインテル社を創設してからは、フェデリコ・ファジンとテッド・ホッフらが発明したマイクロプロセッサとメモリが産業界に大きな影響を与えました。インテルの社長、会長をへてからは、慈善活動の財団を奥様と共に設立、環境保護やチャリティ、患者のケアなどに51億ドルを寄付しました。
米国の経営者は、水族館や動物園などにも寄付をしていていろいろな施設で寄付された人の名前をよく見ます。ムーアさんの名前もよく見ました。半導体業界で最も有名な人だったと思います。大学卒業してからずっと半導体業界で仕事していますが、社会人になって最初に学んだ法則がこのムーアの法則です。半導体業界の物差しのような存在で、今もなお使われています。特定の産業で、これだけ定着している法則は珍しいのではないでしょうか。ご冥福をお祈りします。