伊方原発3号機の運転停止認めず 広島高裁、住民抗告退ける
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テクニカルな話になりますが、こうした議論が、運転差し止めを求める「仮処分」の手続きによって議論されてきたということについて述べたいと思います。
一般の民事訴訟では、結論を得るまでに数か月から数年かかります。その間に「訴訟相手が財産を隠してしまう」などといった事態を避けるために、通常の裁判等とは異なる簡素な手続きによって、暫定的な処分等を得ることが可能です。仮差押、あるいは、仮処分といわれるものがそれです。
原子力発電所の安全性について、「切迫した危険」がある、として迅速性のある仮処分の申し立てをするというのが原子力反対派の方たちの訴訟戦術だったわけで、伊方原発については、仮処分の申し立てを6件起こされたと記憶しています。
ただ、迅速性を優先させた審尋でこうしたことを議論することは果たして適切であったのか、考えさせられます。
申し立てをされた方たちには、最高裁に抗告を行うという選択肢もあるわけですが、それで確定してしまうと今後動きづらくなるので、おそらくはこのままということにされるでしょう。
なお余談ですが、伊方原発は、いまも5箇所の地方裁判所に提起された訴訟(こちらは仮処分ではない)を抱えています。
立地する場所の制約から、有事の際の避難が非常に難しい場所ですが、稼働させるということであれば政府挙げての支援が必要でしょうし、何より、現場の方たちに緊張感をもって安全性向上の努力を続けていただければと思います。伊方原発に限った話では有りませんが、稼働や停止に関わらず核燃料はソコに存在し続け管理を行わなければなりません。設備は稼働し続ける事で日々の改善や作業の熟練が進み、安全性の維持・向上に繋がる。それが途絶える事による停止リスクをどう考えているのかが気になります。